「リボベジ」×「コンポスト」 ゴミを減量し、育てる楽しみを知ろう!

料理で使った野菜の切れ端を育てる「リボベジ」、そして、微生物の力で分解して堆肥に変える「コンポスト」が注目されています。
手間や費用をあまりかけなくても、誰もが気軽に実践できる点が人気の理由のようです。コロナ禍で家にいる時間が長くなったことも手伝って、「リボベジ」や「コンポスト」に挑戦する人が増えています。

日々の暮らしを彩ってくれる小さな「菜園」に、あなたも挑戦してみませんか?

「リボベジ」とは?

「リボベジ」は、リボーン・ベジタブルの略で、「再生する野菜」を意味します。

野菜の根っこやヘタなど、料理のときに廃棄してしまう部分を使って再び栽培することで、もう1度収穫して食べることができます。水に浸けておくだけで葉や茎が成長していくものもあり、キッチンの片隅や窓際のちょっとしたスペースで気軽に楽しめます。

リボベジの5つの魅力

近年注目されている「リボベジ」ですが、その魅力は何なのでしょう? 5点ほど挙げてみます。

1 エコな栽培

野菜のヘタや根っこといった、普段は捨ててしまう部分を利用して栽培するので、とてもエコです。種や苗などを購入する必要がなく、生ゴミを減らすことができます。

家庭菜園のように、鉢や肥料などいろいろ準備する必要もありません。空き瓶やプラスチック容器などに水をはって、野菜のヘタを入れるだけで育つものもあります。窓際のコーナーなど、省スペースが活用できるのも楽しいです。

2 植物の生命力に感動

植物育てがそれほど得意でない筆者も、自宅のキッチンで豆苗や小ネギなどのリボベジに挑戦したことがあります。

特に、小ネギの成長の速さは驚くばかりで、1日たつとかなり伸びていました。植物の偉大な生命力を身近に感じることで、感動したものです。ダイコンやチンゲンサイは花が咲くので、また違ったドラマが感じられそうです。

リボベジをきっかけに、野菜を育てることへの興味が深まり、畑での栽培を始めた人が少なくないというのも、うなずけます。

3 食育に向いている

家庭で簡単に野菜を収穫できるので、子どもの食育に向いています。種や苗から育てるよりも早期に食べられるので、子どもたちも喜んで取り組むはずです。

4 失敗しても再チャレンジしやすい

もしもリボベジの栽培に失敗しても、また料理したときに出る野菜の端っこを使って、すぐに再挑戦できます。失敗を恐れず挑戦できる点こそリボベジのいいところ。「こんなものでできるかな?」といぶかりながら、いろいろな種類の野菜で試せるのも魅力です。

5 グリーンインテリアとして楽しむ

部屋の中にグリーンがあるだけで、なぜかほっとするものです。リボベジの小ぶりな葉っぱもインテリアとして部屋の彩りになります。お気に入りのガラス瓶やおしゃれなバスケットに入れて、素敵な観葉植物として楽しみましょう。

挑戦するなら、まずは豆苗から

いろいろな野菜の切れ端でリボベジに挑戦するのが楽しいでしょうが、おすすめの野菜はあるのでしょうか?

リボベジ向きの野菜としてまず挙げられるのが、豆苗。

スプラウトや豆苗など発芽野菜のメーカー、村上農園は、食べるために茎を切り取ったあと上手に育てるコツを自社サイトで解説していて、参考になります。同社では、2020年秋に若手社員を中心に「ユーチューバー部」を創設、動画で栽培方法の説明を始め、わかりやすいと評判です。スタジオ設営、撮影から編集、配信まで、本格的です。

ちなみに、再生のコツは、根元にある脇芽を切らずに残しておくこと。豆苗は、切られた茎から伸びるのではなく、脇芽が伸びて再生するからです。

発芽していない種は腐りやすいので取り除くこと。大きめの容器に入れて、水は根の半分くらいまで。水替えは通常1日1回、日当たりと風通しの良いところを選んで置くのもポイントです。上手に育てれば、リボベジで2回収穫が可能なようで、成長する様子が日記のように動画でつづられています。

ほかにも、小松菜やチンゲンサイ、タマネギ、ニンジン、ダイコンなどもおすすめ。リボベジで根が出た小松菜などは、鉢やプランターに植え替えるのもよさそうです。

広がる「コンポスト」づくり

生ゴミ削減への意識が高まっている折、微生物の力で分解して堆肥に変える「コンポスト」づくりも広がっています。

家庭から出る生ゴミの減量は、差し迫った課題でもあります。

生ゴミは、日本では大半の自治体で可燃ゴミとして扱われているからです。環境省の調査で、ゴミの総排出量の約8割が焼却処分され、生ゴミがその3~5割を占めていることがわかっています。生ゴミ削減のためにコンポストは以前から使われてきましたが、コロナ禍で自炊が増え、またSDGs推進の呼びかけもあって、特に若い世代が関心を持つようになりました。

LFCコンポストセット公式サイトより

都市部の住民向けに、おしゃれなデザインの手提げバッグ型コンポストも誕生。前日に出た野菜や果物の皮などをバッグの中に入れて、スコップで混ぜるだけの手軽さです。1日300グラムの生ゴミを約2か月入れ続けることができ、投入をやめて3週間ほど熟成させると堆肥になります。

さらに、堆肥化した生ゴミを持ち寄り、共同で管理してさらに熟成を進める「コミュニティ・コンポスト」の取り組みも、いくつかの自治体で広がっています。

川崎市では、市内の提携農園で、各家庭から直接持ち込まれた堆肥で野菜を育て、提供者に配ったり直売所などで販売したりして、地産地消を推進しています。

リボベジ×自作コンポストで育てる

「リボベジ」と自分でつくった「コンポスト」を組み合わせてみるのはどうでしょう?

ベルリン在住のイラストレーター、KiKiさんは、サステナブルなライフスタイルを実践しつつ、自身が育った西伊豆の日本の村とベルリンの暮らしについてコラムをつづっています。

「基本的に新しいものを買わず、すでに持っているものを大切に長く使うか、DIYする。どうしても新しく買い換える必要がある場合はサステナブルなものに置き換えていく」が生活信条のKiKiさん。「リボベジ×自作コンポスト」は、興味深い「実験」だったようです。

準備したのは、自作コンポストで育てた土とリボベジをする野菜、そしてプランター用に空の牛乳パック。

牛乳パックを横にして、側面を長方形に切り抜き、切り抜いた穴から土を入れたら完成です。お気に入りのパッケージデザインを選んだり、マスキングテープなどでコラージュしたり、自分だけのオリジナルデザインを試みてはいかが? もちろん、牛乳パックの代わりに、包装紙などを再利用してプランターを作っても良いでしょう。

トライ&エラー

KiKiさんの「リボベジ×自作コンポスト」の実験も、最初からうまくいったわけではないようです。

キャベツ、ロメインレタス、ミニトマト……。毎朝水をやっても全く変化が見られないもの、小さい芽が出ただけで成長が止まって黒ずんでしまったもの、10日以上経ってようやく芽が出たものなど、トライ&エラーの繰り返しでした。気温や水やりの量、日当たりの条件など、考慮しなければならないことがありそうです。

それでも、「失敗は成功のもと。慣れてくると、注意点も見えてきた。ロメインレタスは、根元から1センチほどの長さを残して植えれば、大きく育つ。コツをつかめばどんどん成長していくので、毎日見ていて微笑ましかった」と、つづっています。そして、リボベジで育てたロメインレタスは、スーパーで購入したものよりも小ぶりではあったけれど、柔らかくてやさしい味がしたそうです。自分で育てた分、愛情が加わって、よりおいしくなったに違いありません。

リボベジから何を学ぶか

KiKiさんの「実験」から、リボベジ、そしてコンポストから学ぶことはと多いように思いました。野菜も土も、生きものです。「育てる」ことの神秘さ、素晴らしさ、そして難しさを実感することになるでしょう。

本などを読んで頭では理解していても、実際にやってみないとわからないことがたくさんあります。土の栄養と、水と、太陽の光と。そうした自然の恵みに助けられ、植物あるいは野菜たちは、強く大きく育つのです。

確かに人が手を加えなくても、たくましく成長していくのですが、ちょっと人の手で整えることで、野菜たちはより美味しく、より美しく復活することができるのです。

ゴミと思っていたものが資源だと気づき、自らの行動を変えて、サーキュラーエコノミー型社会を構築していく――「リボベジ×コンポスト」は、小さなきっかけになりそうです。

参考文献

みなさ~ん そこの野菜の切れ端 まだまだ使えますよ~ 「リボベジ」でゴミを減らしませんか?

リボベジのインテリア実例 | RoomClip(ルームクリップ)

捨てる野菜がおしゃれなグリーンインテリアに様変わり!『再生野菜=リボベジ』のために開発された「リボベジガラス」|動画プレスリリース配信サービスのPR TIMES TV -新着トレンドを動画でお届け

村上農園 ユーチューバー部 スプラウトや豆苗の魅力を動画でお届け | 村上農園 (murakamifarm.com)

「再生野菜」リボベジとは?できる野菜一覧|小松菜でチャレンジ成長記録&収穫をレポート – ガーデンズライブラリ (gardenslibrary.com)

水分の多い「生ごみ」減らすコツは? 家庭用生ごみ処理機を使って1,000回測ってみた(井出留美) – 個人 – Yahoo!ニュース

LFCコンポストセット – 生ごみから美味しい野菜をつくろう (lfc-compost.jp)

生ごみから堆肥へ。コミュニティでコンポストを育てる長期参加型プロジェクトのメンバーを募集|株式会社4Natureのプレスリリース (prtimes.jp)

【川崎市】家庭の生ゴミは資源。生ごみたい肥を市内の畑へ。エコワリング川崎のイベントで循環の仕組を体験 – なかじまひろこ | Yahoo! JAPAN クリエイターズプログラム

KiKi (kiyonosaito.com)

最終回 愛情で育てた自作コンポストでリボベジにチャレンジ! | ELEMINIST(エレミニスト)