【環境対策】オフィスで出来るごみ削減は?【第一歩】


SDGs・資源循環が社会的要請として強まる一方で、「うちの会社も取り組みたいけど、オフィスワークでできる環境対策なんてない」という声も聞こえてきます。
そこで今回は、オフィスでできる身近なごみ削減についてを紹介します。これを参考に、自社内はどうかを見直してみてはいかがでしょうか。

1.オフィスで出るごみってどんなもの?

久米 今回は、オフィスから出るごみのリサイクルについてお話を伺っていきたいと思います。

新井 よろしくお願いします。まず一つ目がオフィスごみの実態について、二つ目がそうなった理由について、三つ目がリサイクル率向上のためにできること。今日はこのお話をさせていただきたいと思います。

久米 まず、オフィスから出るごみとは具体的にどういったものが排出されてるんでしょうか?

新井 お弁当ガラとかコーヒーのカップ、あとはメモとかポストイットとか、ダイレクトメールとかそういったものが多いですね。

缶・ビン・ペットなんかは家庭と同じように分別しているんですけど、それ以外のものについて、業者として分けてくれとは言ってるんですけれど、大体が混ざってしまっています。なので、よくてRPF(紙やプラを固めた燃料)によって熱回収、悪い場合は単純焼却されてしまっているっていうのが現状ですね。

2.オフィスごみが焼却にまわる理由

久米 先ほどおっしゃった中で、紙とかプラスチックとかの本来であれば分別したいものも含まれてると思うんですけど、そうしたものでも雑多に出てきてしまうと、焼却処分されてしまうんですね。

新井 そうですね。やっぱり色々と混ざってしまうと、どうしても焼却にせざるを得ないっていうところがあって、ごみを出す側としても色々なごみが出るので「これってどっちだろう」っていうのが皆さん分からないんですよね。

分からなければ分別することが難しいし、仮に分別できたとしても、それを分別して回収できるのかという問題が発生します。

ごみ収集車が収集するにしても、ある程度の量が1ヶ所に集まらないと収集の効率が悪いので、そういう少量多品種なごみの回収というのは、物流面の課題がかなりあって、リサイクルが進んでいない要因になっています。

久米 でも、紙ですと結構分かりやすいと思います。特にオフィスなどでは使用済みの提案資料がたくさん出てしまうみたいなことがあるので、まとめて会社全体で回収をしていた記憶があります。それでも、ごみに混ざってきてしまう紙は多いものなんでしょうか。

新井 ちゃんと分けられている会社と、そうでない会社があるみたいですね。あるデータによると、まだリサイクルできる古紙が年間200万トンぐらい焼却に回されてしまっていると言われています。

その中にはシュレッダーごみも含まれています。シュレッダーされた紙もリサイクルできると知らずに廃棄してしまうっていうパターンが結構あるみたいですね。

久米 そうなんですね!私も、シュレッダーしてしまうと駄目なのかなと思ってました。

新井 あれは実はリサイクルはできるんです。ただし、紙って繊維(パルプ)が絡んでできているものですから、それが細かくズタズタに切られていると再生の過程でだいぶ水に流れちゃって歩留まりが悪い素材ではありますが。

久米 紙はどういう風にごみに出すのが一番いいんでしょうか。

新井 紙でいうと、機密書類の溶解ボックスを提供してる会社があるので、見られたくない紙はシュレッダーにかけるより、溶解ボックスにそのまま投入して回収してもらうといいです。箱を密封して機密を守った形で業者さんに回収してもらうと、その繊維が切れないままリサイクルすることができるし、何よりもずっと裁断機の前に立って紙をシュレッダーにかけている時間も削減できるので、リサイクルだけでなく業務改善という意味でも、機密文章溶解サービスを利用するのはいい方法だと思います。

3.リサイクル率向上のためにできること

久米 リサイクル率をオフィスの中で上げていくためにはどういった工夫ができるんでしょうか?

新井 特に課題となっているのはプラスチックです。一緒くたに焼却されてしまうプラスチックの中にも、分別できればかなり高品質な原料となるものが結構あるんです。例えばペットボトルやクリアファイルですね。

こういったものは原料としては結構優良なものなので、なるべく分けて回収することさえできれば、かなりリサイクルしやすい素材といえます。

久米 なるほど。ペットボトルの場合は、たとえば自販機の横に回収ボックスがあったりとかしますけど、クリアファイルって単一のプラスチック素材でできてるので、すごくいい素材だと思うんですけど、燃やせるゴミ以外に入れる場所がなかなかないですよね。

新井 例えば「MaaR for business」っていうサービスがありまして、そういった素材として優良だけど回収の仕組みがないプラ素材などを入れる専用の回収ボックスをオフィスに設置するんですね。

その中にクリアファイルとかペットボトルキャップをそれぞれ分けて入れられるようになっていて、箱がいっぱいになったときに宅配便業者が回収に来て、それを再生工場でリサイクル原料にされて再商品化されるといったシステムです。

加えて、一定の量が貯まったら、それを原料にした再生品と交換できる、例えばボールペンとか、再生クリアファイルみたいなものに交換できるサービスなので、さっき久米さんが言った「分けられるといいけど、分ける場所がない」っていう素材はそういったサービスで解決を図れますし、課題であった物流どうするかという点は宅配便っていう既存のインフラを使うというところで解決しているっていうサービスです。

久米 小規模なために回収が難しいプラスチックの問題の解決策になりそうですね。

新井 はい。加えて、従業員の意識の向上にも寄与するというふうに言われてます。

久米 確かに、もう一度使えるものになって戻ってくる事を体験すれば、本来ごみとして認識していたペットボトルキャップとかも「これは資源なんだな」っていう意識に少しずつ変わっていくので、従業員全体の環境意識の向上に繋がるのかなと思います。

新井 そうですね。あとは、回収業者・廃棄物処理業者の側としても、混ざっちゃったごみをどうにかリサイクルできないかっていう努力をしています。例えば最近だと光学選別機といったような高度な選別機械を導入して、やわらかいプラスチック硬いプラスチックを分別したり、プラスチックの種類による比重の違いでPP(ポリプロピレン)・PE(ポリエチレン)を分別できるようにしたりとか、技術導入を進めています。

そうやってなるべくマテリアルリサイクルを進めていこうと努力されている会社もあるので「ごみを排出する際に分けること」と「排出した後に分けること」の両面から資源循環を進めることで、全体のリサイクル率を底上げしていくことができると思います。

久米 ありがとうございました。