【林業】「木を切ることは悪いこと」は間違い?


林業という言葉がある通り、適切な伐採は環境保全の観点から推奨される場合もある。

しかし、なんとなく「森林伐採=自然破壊の代名詞」というパブリックイメージが根付いてしまっていることも事実だ。

そこで今回は森林と環境の関係について、わかりやすく解説をしていく。

「木を切ることは悪いこと」は間違い?

飴屋 木を切るのは悪いことって言われますけど実際どうですか?

新井 天然林を切ることは、環境の面から考えると悪です。

飴屋 天然林?

新井 森林には天然林と人工林の2つがあります。天然林とは屋久島みたいな自然のままの状態の大森林で、人間が意図的に保護している森林です。あとは南米のアマゾンも生態系を守るために保護している天然林になりますね。

一方で人工林は木の畑と言われていて、木材を採るために人が人工的に管理して育ててる森林です。

飴屋 最初から切るために作られたのが人工林ですか?

新井 そうです。昔から「里山」って呼ばれるような所で、人工林は適切に伐採をしていかないと木が密集しすぎて狭くなってしまい、それ以上木が育たなくなったり、上の方が葉っぱで覆われてしまって日光が届かなくて下の方の草木が育たなかったりします。

放置されると悪影響が出てしまうので、適切に伐採していくことが必要なんです。

飴屋 人工林は切ったほうがいいんですね。じゃあ、なんで木を切るのは悪いみたいな先入観が我々には染みついてるんでしょうか?

新井 今も問題になっていますが、むかし大きく話題になったアマゾンの違法伐採などの問題のイメージが大きいのかなと思ってます。

それ以降、木を切る=環境破壊、「割り箸を使うとアマゾンの森林が減っていく」みたいな極端なイメージが染みついたんじゃないかなって思っています。

しかしそれ以前に、森林には人工林と天然林の2つがあること自体がなかなか知られていないために、木を切るのは悪いという直線的なイメージになってしまったとも思いますね。

日本の林業が衰退したワケと現在の流れ

飴屋 人工林は切った方がいいのはわかったのですが、日本の林業はどうなんですか?

新井 日本の林業は長年衰退傾向にありました。

そもそも日本の森林は山肌にできてるものが多いので、山に登って伐採するのが大変だし、欧米に比べると効率が悪く、コストがかかるんですよね。

カナダや北米は広いところに森林があって畑みたいになってるんで重機とかで伐採できるんすが、日本の場合はどうしても人が山に登ってチェーンソーで切っていくのでコストがかかるし木材もその分高くなってしまいます。

その結果安い輸入材がどんどん使われるようになって、日本の林業はどんどん押されてしまっているわけです。

今の日本の木材自給率は3割ぐらいで、残り7割が輸入材ですね。

飴屋 日本の林業はこのまま衰退するんでしょうか?

新井 今の3割っていう数字も、実は以前からすると上がってきている数字なんです。

飴屋 よくなってるんですね!

新井 そうなんです。徐々にですが現状を何とかしようっていう若い方が林業に参入してきたり、地産地消で地域で採れた木材を使って家を建てるリノベ業者や住宅業者が出てきていますね。

飴屋 地産地消の家ってなんかいいですね!

間伐採って何に使われてるの?

飴屋 人工林は間引くのがいいって話が出ましたけど、間引いた木材は何に使われるんですか?

新井 住宅の建材にするのが一番価値が高いですね。

質の良い木材は丸太の状態から建材として四角い柱を切り出します。

余った部分などは細かく刻んでチップにして紙の元のパルプにしたり、バイオマス発電の燃料にしたりします。

飴屋 無駄なく使うのはエコロジーだし、林業はいいことばかりですね。

新井 そうですね。国産材で回していければ輸入に頼ることもなく日本の森林が適切に管理されるようになって、いいことずくめなので、ぜひ推進してもらいたいと思ってます。

飴屋 日本の林業が復活するといいですね!ありがとうございました。