資源の国際化時代、日本は古紙の輸出国


今回はほとんどの人が知らないであろう世界を循環する紙について紹介する。

資源の少ない日本だが、再生インフラが整っているため古紙をたくさん輸出している。
しかし今、中国の変化がこの循環の輪に大きな変化を与えている。

日本はなぜ古紙を輸出している?

飴屋 日本で集めた大量の古紙ですが、どれくらい海外に輸出してるんですか?

新井 国内で集まった古紙の大体2割ぐらいを輸出していて、輸出先としてはほとんど中国を中心としたアジア地域ですね。

飴屋 何で輸出してるんですか?

新井 1995年ごろですが、日本で3R政策が始まったときに、自治体でも資源ごみとして古紙の回収を始めたんです。

それによって国内の古紙の回収量がすごく上がりました。

だけど国内では使いきれないぐらい集まったので、古紙の値段が暴落してしまったんです。

飴屋 そんなに集まったんですね。

新井 そうなんです。それでどうしようもなくて、経済成長前の中国に向けて輸出を始めたのが輸出の始まりですね。

いま中国が紙を爆買いする理由

飴屋 中国が紙を爆買いしてるって聞いたんですが、なぜですか?

新井 中国って世界の工場として、いろいろなものを輸出することでものすごく経済成長しましたよね。

輸出品の原料を世界中から輸入するようになったので、その流れで古紙の輸入も増えていったんです。

日本でもインターネットが発達したことによってAMAZONのようなオンラインショップが発達しましたが、そうすると梱包用のダンボール需要が大きく伸びます。

中国だとアリババですが、中国の人もオンラインショップで購入するようになったので梱包用のダンボール需要がとても伸びていきました。

中国は人口も10億人以上いますからその分古紙も大量に必要になりますね。

ダンボールの国際循環

飴屋 今もダンボールの消費量は増えてるんですか?

新井 そうですね。中国の場合は国内だけじゃなくてアメリカや日本からも古紙を買っていますが、買ってきた古紙を使ってダンボールを作って、製品を包んで輸出しています。

中国製品を輸入したアメリカや日本では古紙が回収されて、また中国が古紙を買ってダンボールを作るっていう循環ができたんです。

今はだんだん中国と同じような流れで東南アジアやベトナムも古紙の輸入量が増えているという状況です。

九龍製紙のチャイニーズドリーム

新井 中国の製紙事業はすごく成長をしたんですけど、九龍製紙(ナインドラゴンズ)っていう中国一番の製紙メーカーが2000年代の20年間で世界2位の生産量まで浮上しました。

飴屋 世界での生産量2位はすごいですね。

新井 はい、三姉妹で経営していて元々は古紙の回収から始めて大企業になった製紙メーカーです。まさにチャイニーズドリームですね。

飴屋 日本の古紙の回収量は多いですが、中国より多いんですか?

新井 回収量でいうと、やっぱり人口が多い中国が勝ります。

回収”率”で言うと日本はすごくて8割を超えています。

中国の古紙の回収率は5割ちょっとぐらいですが、その人口の規模が多いので回収量は多いですね。

中国がもし8割の回収率でリサイクルするようになったら、逆に中国が古紙の輸出をしないと使い切れない状態になりますので立場が変わってきますね。

飴屋 これからも古紙リサイクルは伸びますか?

新井 はい。製紙産業はものすごく古くて、もう成長の余地はないみたいにずっと言われてたんですけど、オンラインショップのおかげでダンボールの需要が世界的に広まったことで注目の成長分野になっています。

今は世界中のお金が集まっている産業の一つだと思います。

飴屋 製紙業界で注目すべきはダンボールなんですね。ありがとうございました。