廃プラスチックの奪い合いが始まる?


脱炭素/脱プラの流れから、企業間で再生プラの需要が急騰が起きています。
近い将来、企業間で国内の廃プラ資源の奪い合いが始まるかも知れません。今回は、最新の国内廃プラスチック市場について解説します。

廃プラスチックが注目されている理由

飴屋 最近プラスチックのリサイクルについてよく耳にしますが、その辺りについて詳しく教えていただけますか。

新井 はい。2022年の4月からプラスチックの循環や利用に関する「プラ新法」という新しい法律ができ、これに向けて各自治体や事業者が動いています。廃プラスチックのリサイクル工場もどんどん建てられたり、そういった計画がすごい進んできているところですね。

例えば、「ペットボトルからペットボトルを作ります」とか、「シャンプーの詰め替えボトルのパウチを回収してまた再生します」など、リサイクルの取り組みは徐々に増えてきていて、廃プラスチックの再生製品であるということがブランディングに繋がるという時代になってきていますね。

飴屋 再生した製品であること自体に価値がでてきているということですね。

廃プラスチックリサイクルのこれまで

飴屋 それではなぜ、今まであんまり注目されていなかったんですか?

新井 再生プラスチックは、どうしても石油から作ったバージンプラスチックに比べると品質が少し劣ってしまうんです。強度が弱かったり、黒い粒子が残り完全に白くならなかったりしてしまう。

そういった面で日本の「品質重視のものづくり」の流れから、あえてそこまで使う理由がなかったんです。

ただ最近状況が逆転して「再生原料を使ってますよ」と言いたいがために使うような風潮ができてきてます。

廃プラの価値が上がるのはいいこと

飴屋 再生プラが使われることは良いことですよね。

新井 そうですね。集める側としてはとてもありがたいことだし、ちょっと注目されたり値段が上がったりすると、回収しようという業者もどんどん増えてくるので、回収量も増えていきます。

今まで集めた廃プラスチックのほとんどは東南アジアとか中国に輸出されてたんですね。ただ廃プラを資源として考えると、せっかく日本で回収した資源を海外に出してしまっている。であれば、国内で有効利用できた方が日本にとっても良いことだと思います。

廃プラの奪い合いが始まる?

飴屋 逆に再生プラスチックを使う事で生まれてくる課題はありますか?

新井 再生プラスチックの原料は廃プラスチックなんですけど、そこの需要と供給のバランスが崩れるという問題があると思います。廃プラは発生するもので、作れるものじゃないからです。

飴屋 確かに、再生プラを作る工場がいっぱい出来たからみんないっぱいジュース飲もう!とはならないですよね。

新井 そうなんです。急に消費が倍になったりはしない。そうなると廃プラの奪い合いみたいな状況になってしまうんです。その結果、再生原料の方がバージンよりも高くなる状況が生まれ、そうなるとメーカーの方でそこを負担したり、将来的には消費者の方に価格が転嫁されてしまう可能性が生まれてしまいます。

再生原料の価値が上がって、回収量が増えていくことはすごい良いことだと思ってるんですけれども、それが行き過ぎて、「足りないから海外から廃プラを輸入しよう」みたいな話になると、ちょっと本末転倒なのかなと頭をよぎったりはしますね。

飴屋 なるほど。ありがとうございます。