
SDGs推進の流れに乗って、次々と環境配慮を謳う新素材が登場しています。
しかし、それらは本当に「環境に優しい」のでしょうか?
実は、場合によっては逆効果になることもあるんです。
今回は、分かりづらいバイオプラスチックについての正しい知識をお伝えします。
バイオプラスチックって知ってる?
飴屋 バイオプラスチックって何ですか?
新井 バイオプラスチックは日本独特の呼び方なんですけど、バイオマスプラスチックと生分解性プラスチックを総称して「バイオプラスチック」と呼んでいます。

まずバイオマスプラスチックっていうのはサトウキビやバガス(サトウキビの絞りかす)などの植物由来の繊維を使ったプラのことです。
飴屋 食べられる?
新井 食べられはしないですが、植物などの生物資源由来のプラをバイオマスプラスチックと言います。
次に生分解性プラスチックは、特定の条件下で自然に還るプラのことです。紙みたいに溶けていくもので、そういった性質があるものを生分解性プラスチックと言います。
100%バイオマスプラスチックはまだない
飴屋 全部バイオプラスチックにしちゃえばいいんじゃないですか?
新井 そう通りなんですが、バイオマスプラスチックも生分解性プラスチックも実は両方とも課題があるんです。
まずバイオマスプラスチックの場合ですが、100%バイオマスプラスチックはまだ実用化されていないのが現状なんです。

例えば今多いのが、基本的には石油なんだけど25%だけバイオマスプラスチックを使用しているレジ袋とかですね。
これは燃やす前提であれば、バイオマス部分は化石燃料じゃないのでカーボンニュートラルと言えるんです。だけどリサイクルする場合は、石油由来のプラスチックを前提で集めているのに、その中にちょっとだけバイオマスプラスチックが含有してるものが混じってしまうと、リサイクルもうまく出来なくなってしまうというのが問題になってます。
生分解性プラスチックの落とし穴
飴屋 生分解性プラスチックの課題はどういったものになりますか?
新井 まず今の生分解性プラスチックの技術では、ある程度整った条件の中でしか分解できないんです。
飴屋 条件は何ですか?
新井 ざっくり言うと、一定の温度・一定の条件で動かずに何週間か経つとやっと分解されるようなものなんです。だから実際に海に流れ出した時は、条件が一定じゃないので絶対に分解されないんですよ。
飴屋 実用化は難しそうですか?
新井 実用化の一例として農業用のマルチシートがあります。これは雑草の繁殖を抑えるために畑の畝を覆う黒いビニールのことなんですが、シーズンが終わるごとに農家の方が1回1回剥がして棄てているんです。

このマルチシートに生分解性プラスチックのものが出てきていて、廃棄物とならずに自然界で分解されるので、農家の方にとってもすごく楽だし環境にも良いんです。
そういった特定の用途にはすごく効果があるのですが、条件が揃わないとだめなので、単純に「生分解性プラスチックだから使っていい」という訳ではないんですね。
飴屋 条件がネックということですね。
じゃあ、どうすればいいの?
新井 まとめると、バイオマスプラスチック・生分解性プラスチックと書いてあれば環境に良いし使っていいんだというふうになってしまうと、今話したような課題を置き去りにされてしまうので、その辺りは使う方も法を作る方も考えてやっていかなきゃいけないと思っています。
飴屋 我々も意識していかなきゃいけないですね。ありがとうございました。