
脱炭素の面から近年なにかとやり玉に挙げられるプラスチック。
果たしてプラスチックフリーの社会は実現可能なのか?
今回はプラスチックとの正しい付き合い方と我々のすべきことを解説する。
プラスチックって必要不可欠なもの?
飴屋 レジ袋をはじめプラスチックの削減が進められてますが、プラスチックって悪者なんですか?
新井 悪者みたいに言われてますが、そうではなく必要不可欠なプラスチック製品は残して、無駄な使い捨てプラスチック製品を減らしてくべきだと思っています。
飴屋 なるほど、必要不可欠なプラスチック製品ってどんなものでしょうか?
新井 例えば医療現場の注射器類やチューブ類、マスクなどの衛生面から使い捨てが前提の医療器具ですね。

あとは難民支援の現場などで食料支援するときには安くて軽くて使いやすいプラスチック容器が使われますが、これをわざわざ紙の容器にするのは現実的じゃないですよね。
このように、とにかく早く確実なものが求められる現場ではプラスチック製品は必要不可欠と言えるんじゃないでしょうか。
飴屋 確かにそうですね、他に必要不可欠なプラスチックはありますか?
新井 産業分野で金属の代替品として開発されたエンジニアリングプラスチックっていうものがあって、主に精密機械の部品や飛行機の部品に使われています。
熱に強かったり、強度が高いので工場や飛行機などの過酷な環境でも使える産業用のプラスチックも必要不可欠なプラスチックですね。
あとは、使い捨ておむつは紙とプラスチック混合ですごく吸収性を良くしていて、ないと困る高機能なプラスチック製品ですのでこういったものも必要不可欠といえるかと思います。
プラスチックフリーな社会は実現可能?
飴屋 私たちがプラスチックの使用を我慢してれば解決するわけでもなさそうですね。
新井 完全なプラスチックフリーの生活をしようと思っても、プラスチックは医療や産業、物流の現場で使われています。都市生活をしている限りは社会の隅々まで浸透しているプラスチックを使わずに暮らすことは無理ですね。

病院にいったら使い捨てのプラスチック器具は当たり前のように使われていますし、眼鏡にもほとんどプラスチックが使われています。眼鏡もコンタクトもつけられないみたいな状況になったら困りますよね?
飴屋 困りますし現実的じゃないと思います。それでもプラスチックの使用を減らしていくわけですよね。私たちはどうしたらいいんでしょうか?
新井 今後のプラスチック削減の方向としては2つあると思ってまして、まずは無駄なプラスチック製品を減らしていくことですね。
具体的にはレジ袋をやめてマイバッグを使ったりしていくことです。それだけでプラスチック使用の半分くらいは減らしていけるんじゃないかと言われてます。
もう1つはプラスチックを使わざるを得ないものに関しては、しっかりリサイクルをしていくことですね。

例えば、産業分野でいうと車のシートなどに使われているウレタンです。ウレタンの端材はソファーの中身としてリサイクルされています。
あとは生活必需品のごみ袋もバージンの石油(石油からの一次加工品)から作ったごみ袋を使うより、再生プラスチック原料から作ったごみ袋に代替していくことも大事ですね。

使い捨てプラを減らす具体的な案
飴屋 リデュースだけでなくリユースとリサイクルが重要になってきますか?
新井 そうですね。リユースに関してはLoop Japanという会社の取り組みが面白いですね。
昔からあるリユースとしてビール瓶がありますが、これは居酒屋で空になったビール瓶は酒屋が回収して、工場で洗ってまたビールを充填して居酒屋に配送される仕組みです。
この循環を使い捨てのプラスチックボトルがよく使われる調味料やシャンプーなどで行おうとしているのがLoop Japanですね。
こういった新しい試みをする会社も出てきたのでビール瓶だけじゃなくて、いろいろなものがリユースされたり、いろいろなところでリユース・リデュース・リサイクルがされていけばプラスチックの使用を減らしていけると思います。
飴屋 いろいろなところで3Rが広がるといいですね。ありがとうございました。
