プラスチックリサイクル ワールドエキスポ2023現地レポート


こんにちは!「環境と人」編集部の久米です。6月にドイツ・エッセンで開催されたプラスチックワールドエキスポのレポートをお届けします。

プラスチックワールドエキスポは、世界中から約200社近くが集まる展示会で、設備メーカーや科学メーカーなど様々なプラスチック産業のステークホルダーが参加しています。現在の欧州の技術や今後の市場の動向などレポートしていきます。

会場内は多くのメーカー関係者で賑わっていました。

今回の展示会では、再生材の需要が高まっている中で、綺麗な単一プラスチックだけでなく、市場から回収されてきた混合プラスチック(PCR材)をいかに買い集めるか、そして循環させるため、いかに選別や洗浄のレベルを上げていくかということが大きなテーマでした。

また、欧州では既にゴミ袋やプラ容器などにPCR材がたくさん使用されていますが、その用途を広げるための技術や添加剤を提案する企業が見られました。

様々な企業の中から、3社のインタビューをお届けします。

1.BoReTech社

この業界において自動化は重要です。この展示会でも私たちのパートナーである光学自動選別の先進企業が出展しています。

当社はその設備を組み合わせて、自動洗浄ラインを組み上げています。基本的には3つの工程があります。まずは洗浄です。使用済みペットボトルは洗浄のあと粉砕され、フレーク状になります。次の押出し工程でペレットになります。

こんな感じの粒々になるわけです。

食品に使えるレベルのペレットにするには、固体重縮合(SSP)という技術を使います。SSPによってペレットのIV値(粘度)を高めて要件を満たすことができます。ペレットの除染もして、食品周りにも使えます。

取材協力:BoReTech社

2.HydroDyn社

ドイツを拠点として、プラスチックリサイクルの洗浄設備を開発しています。私たちのイノベーションの鍵となるのはハイドロクリーナーです。

水流による強い摩擦でフィルムのフレークを一度の洗浄ステップで100%綺麗にすることができます。

久米 近年、リサイクル市場はどう変化していますか?

PCR市場は加速しながら確実に成長していると思います。リサイクル原料の流れを維持したいので、廃棄物を分別しているリサイクル施設からの分別施設の引き合いが増えています。リサイクル業者は原料の確保で争い、どこも高効率な技術を探しています。

大きな変化としては、品質の要求水準がますます上がっています。それは私達にとって良いことです。お客様に良い品を使って頂けるよう、日々取り組んでいますから。

取材協力:HydroDyn社

3.RTT社

当社の「Flake analyzer」をお見せします。フレーク状になった廃プラスチックを種類ごとに分析できます。

こういうフレーク状のプラを投入すると、樹脂の種類や色を判別して即座にデータ化することができます。このサンプルはPEがメインでPPが少々、他にもABSやPS、紙と木、コットン、金属まで検出できます。

久米 PCR(混合プラスチック)のリサイクルはもっと成長していく?

プラスチックリサイクルにおいて、小さな循環に戻していく需要がどんどん高まっています。そのためには、再生原料の正確なデータを知るべきです。最終製品の品質に関わりますからね。

だから、何を循環の輪に戻すかが重要で、分析ツールの需要も上がっています。取材協力:RTT社

まとめ

品質や安全性を証明するものとして、サプライチェーンの見える化や認証の取得も重要視されています。アジア地域ではGRS認証というものが最も一般的ですが、欧州市場ではさらに厳しい基準のISCC認証の取得が、より求められています。

現状日本では運搬や建築資材などあまり人目に触れないものに再生材が使用させていますが、それらだけでなく、より生活者が手に取れるものにも使っていこうという流れがあり、開発に力を入れている国内企業が出てきています。

今回の展示会を通して、ものづくり大国の日本ならではの循環のあり方を模索する必要があると痛感しました。

auther:久米彩花