家庭でできる生ごみリサイクル 導入進む条件は?【コンポスト】


家庭ごみの中でも一見よく燃えそうな生ごみですが、そのほとんどが水分のため、実は焼却炉の温度を下げてしまい、化石燃料などを入れなければならず、CO2排出を増やしてしまっています。

そこで、家庭でできる脱炭素・リサイクルとしてコンポストを用いた生ごみの堆肥化をしてみてはいかがでしょうか。生ごみを捨てる頻度が圧倒的に下がり、家計にもプラスとなりえる家庭用コンポスト導入のススメについてご紹介します。

1.生ごみのリサイクル方法

久米 今回は、生ごみのリサイクルについてお話を伺っていきたいと思います。よろしくお願いします。

新井 はい。まず1.生ごみのリサイクル方法について。2.コンポストのメリットとデメリット3.コンポストが進む地域とはどんなものかついてお話させていただきます。

久米 新井さんは普段おうちでどのように生ごみを処理されていますか?

新井 うちは「LFCコンポスト」というものを使って処理しています。ちょっとおしゃれなバッグみたいな見た目で、中に基材っていうのが入っているんですが、その中に生ごみを投入して日々ちょっとかき混ぜながら3ヶ月くらい置いておくと、野菜作りで畑に撒くような堆肥が出来上がるというものです。

LFCコンポスト|生ごみから美味しい野菜をつくろう

久米 土ですか?

新井 土というか、肥料ですね。肥料ができる家庭用コンポストのサービスを使ってます。

久米さんの家では何か工夫していますか?

久米 私はすごくコンポストに関心があるんですけど、実際には普通にごみ袋に捨ててしまっています。

関心があるのに取り組めていない理由として、私の友人も新井さんと同じようにLFCコンポストを使っていたそうなんですが、生ごみで作った堆肥を活用する方法がなくて結局やめてしまったっていう話を聞いたことがあって二の足を踏んでいます。

家庭菜園とかガーデニングをやってる方々は堆肥を活用できると思うんですけど、使い道がないとどんどん堆肥が溜まってどうしたらいいか困ってしまいそうで、取り組めていないんです。

新井 うちの場合は、できた堆肥は可燃ごみで捨ててます。

久米 捨ててるんですか!?

新井 はい。でも、それでも全然いいと思っています。というのも、堆肥化すると1つの世帯の2~3ヶ月分の生ごみがこのバッグ1つに収まってしまうくらいに水分が飛ぶわけなんです。

生ごみってほとんどが水分ですから、焼却場で燃やすのに大量のエネルギーを使うんです。なのでそのエネルギー消費を抑えるために、ごみを乾燥させる機械に自治体が補助金を出していたりします。そのくらい、乾燥させるだけで全然効率が違うんです。

家庭側としても、ごみの容量がぐっと減るので、普通にごみ箱に入れるとぱんぱんになっちゃう量の生ごみを何ヶ月ぶんも入れられます。だから、堆肥として使わなくても乾燥させるだけでも価値があると思ってます。

久米 減容させるだけで十分意味があるんですね。

新井 はい。ただ、堆肥として活用できるのが一番だとは思います。

理想はうちで家庭菜園やって野菜を育てることなので、何度か挑戦したんですが、どうしても長続きしませんでした。

それとLFCコンポストの場合は作った堆肥を回収しますってサービスをやっているんですが、回収してもらう準備するのがちょっと面倒くさいとか、時間がないっていう事情があるので私は利用していません。

でも、それもしょうがないかなと。「できる範囲でやる」でもいいのかなっていう感じでやってますね。

久米 なるほど。いち家庭内で堆肥を活用しようと思うとちょっと大変ですけど、例えば居住コミュニティや地域が持っているガーデンや畑に活用できる仕組みがあると、より導入が進みそうですね。

新井 そうですね。残念ながら都市部での堆肥の活用拡大はまだまだこれからなんですけど、少しずつそういった取り組みが増えているという話は聞きます。

2.コンポストのメリット / デメリット

久米 コンポストをやり始めてデメリットに感じることはありますか?

新井 やっぱり、虫が特に苦手な方はちょっと駄目だろうなと。私もコンポストの維持管理に慣れるまでは虫がたくさん湧いてしまったりとかはありました。もう一生ぶんのイモムシを見たんじゃないかと。慣れるとそいつらもかわいく見えてくるんですけれどもね(笑)

久米 虫が出てしまうのは避けられない?

新井 夏場はどうしても出てしまうんじゃないでしょうか。でも逆に言えばデメリットはそのくらいです。臭いはベランダとかに置いておけば気にならないですし、堆肥を育てていくうちにコンポストに愛着が湧いてくるので、楽しいですよ。

それと、肉とか魚といったカロリーが高いものを入れたりすると、すごく発熱するんです。

久米 それは、発酵によってですか?

新井 はい。コンポスト中の微生物がガーッと分解することで発酵して、とくに冬場に封を開けるとほかほかとした湯気が出てきて、どうやら50℃前後くらいになるみたいなんです。それを見てると、ものすごいエネルギーだなって感じるわけですよね。

なので、そんなエネルギーの塊をそのまま単純焼却しちゃっている現状は「もったいない」と単純に思います。

3.コンポストが進む地域とは?

久米 コンポストの導入が進む地域とは具体的にどういった地域なんでしょうか?

新井 やっぱり庭があったり敷地が広い家がある地方ですね。家庭菜園している家なんかで、畑のそばにバケツを逆さにした形のコンポストがよくあります。なので、昔からある所にはあるんです。

それと、ごみ袋が有料化された地域だと生ごみを減らすことでコストメリットが出てきます。これから指定ごみ袋の地域がどんどん増えてくると予想されるので、やってみようかなって家庭も増えてくるんじゃないかと思います。

ごみとお金の話〜家庭ごみの回収は無料なのか?~

久米 私も、いまの話を聞いて減容化するっていうところから始めてみたいと思いました。

新井 ぜひ。あとは、家庭での生ごみの利用っていうのは個人で進めてもらう領域なんですが、一方の事業系(企業ごみ)についてちょっと話してみます。

やっぱり飲食店から出てくる残飯とか野菜くずって、家庭と同じく堆肥の活用法がないのでその多くが単純焼却されちゃっていますので、どんどん堆肥化をはじめとして有効利用できるリサイクル方法が進んでいくと、社会全体の効率がもっとよくなるんじゃないかと思います。

久米 事業系についても、もっと生ごみを有効利用する余地があるということですね。ありがとうございました。