

いらなくなった服をどう処分するか。
実は日本の洋服のうち7割が焼却されてしまっており、環境に負荷をかけている。
今回は、服を捨てた先でどうなっているのか解説する。
捨てた後の服はどうなるの?
飴屋 洋服のリサイクルについてお伺いしたいと思いますが、そもそも洋服ってどうやって捨てるのが正しいんですか?
新井 飴屋さんはどうやって捨ててます?
飴屋 あんまり捨てないですね。それこそメルカリに出したり、人にあげたりしています。
どうしようもない服は燃えるごみに出しています。
新井 そうですよね、だいたい人にあげたりとか、メルカリ、古着屋とかですよね。
リユースに出す、もしくは自治体で古着を回収しているところがあるのでそこに出す。
あとは役所の回収ボックスみたいなのが置いてあったりするので、そういうところで捨てることもできますね。
もしくは可燃ごみで焼却する。その四つですかね。

飴屋 人によっては回収ボックスとか知らなくて、捨てるしかないって人も結構多そうですね。
新井 自治体によっては服の回収をやってなかったりするし、周知があまりできてない現状もあって、日本で捨てられている服の約7割ぐらいが単純に焼却されちゃっているのが現状ですね。
飴屋 7割も焼却してるんですね。もったいないですね。
新井 そうですね。キリスト教圏のアメリカだと寄付の文化があるので、教会に行けば受けてくれたり、バザーとかでリサイクルされる文化があります。
飴屋 自治体に出した後の服の処分ってどうなってるんですか?
新井いわゆる襤褸(ぼろ)屋さんというか、服のリサイクルをやってるところに、まずは寄付したり回収されたりします。
一旦そういったところに集約されて、そこで「着れるもの」「着れないもの」にざっくり分けています。

着れるものは海外にほとんど輸出されますね。
飴屋 国内には出回らないんですか?
新井 国内に出回ることもあるんですが、中東やアフリカのような新しい服を作る施設がない地域に輸出されて流通することがほとんどです。
飴屋 海外のほうが需要が高いからですか?
新井 そうですね。破れてたりして着れない服は輸出先でも需要がないんですが、そういったものはウエス(産業用ぞうきん)になります。
ウエスは機械の油とかをふき取ったりする使い捨ての雑巾みたいなものなんですが、Tシャツとかをウエスに作り変えています。
ウエスも一定の需要があるので、捨てられた服のリサイクルになりますね。
古着として「誰かが着る」っていうことを知らないで捨てる人も多いので、わざわざ手間をかけて切り刻んでから捨てたり、子供服を捨てるときにオムツのごみも一緒に入れて捨てられたりします。
飴屋 知らないとそういうことをする人もいそうですね。
新井 知らないがゆえにやってしまう。「誰かが着る」と知っていれば、綺麗な状態で出すこともできますよね。
飴屋 そのとおりですね。まずは知ってもらうことが大事です!
輸出された服はちゃんと役立ってるの?
飴屋 海外に日本の古着が輸出される話を聞いて納得しました。よく海外の子供たちが日本のキャラクターのTシャツとか着てますよね。
どこで買ったんだろうと思ってたんですけど、日本で回収されて輸出されてたんですね。
新井 そうですね。輸出先のバイヤーは服が作れないので、いくらでも欲しいと思っています。
特に日本人は綺麗に使うので「ユーズド・イン・ジャパン」といって人気があります。
日本としてもどんどん輸出できるので良い処理先にはなるんですが、その一方で輸出先でも着られない服が山積みになっています。
最近でも輸出先のアフリカなどでは廃棄物の問題としてニュースになってました。

良かれと思って寄付とか輸出をしていますし、現地のバイヤーもよかれと思って輸入してるんですけど、その中には現地でもいらない服が入っています。
飴屋 認識に差があって意思疎通がうまくいってない感じですかね?
新井 そうですね。あとは輸出先の現地で服を作っている会社や産業がありますが、安い輸入の古着がどんどん入ってくることで、現地の産業が育たなかったり、破壊されたりする問題もあります。
飴屋 海外から安く買えたら、自分たちは作らなくていいやってなりそうですね。
新井 だから服を作る産業が育たなくなってしまいますね。
もう一つ問題なのが冬着です。
基本的に古着の輸出先は赤道付近や暖かい気候の途上国が多いんですよね。
なので、この冬着の需要って全然ないんですよね。
飴屋 冬物の古着はほとんど価値がないですか?
新井 価値がないですね。バイヤーの方も冬着はいらないので、ウエスになったり、焼却されることが多いです。
飴屋 意外でした。冬着って布の量も多くてなんか、よさそうな気がします。
新井 まあ、アフリカの人は着ないですよね。
だから国内循環を増やしていくことも大事なんじゃないかなと思います。
飴屋 国内だったら冬着も需要ありますね!
結局 洋服はどう処分するのがいいの?
飴屋 服をどう処分するのが正しいんですか?
新井 やっぱり気に入った服を買って、長く着るのが一番だと思います。
そして気に入った服を修理したり、縫い直したりして長く着ていくのもいいと思います。
飴屋 昔の日本人はそれやってましたよね。
新井 そうですね。服の値段が下がって買いやすくなったのも、ここ20年ぐらいの話です。
それまでは比較的高価なものだったので大事に着ることは経済的にも当たり前のことだったし、戦前なら家で服を縫ったりする技術があったわけです。
そういうのがどんどん失われている現代ですが、修繕するとか、長く着るためのインフラみたいなものを整える必要があると思いますね。
飴屋 そうですね。いい感じに教育とかにも取り込んでいけたら、消費者の我々も変わっていけそうですね。

新井 まずは回収に出すということは「誰かが着るもの」ということを知ってもらうことです。
環境と人にも取材記事があるんですが、古着を回収している日本ファイバー株式会社は珍しく古着屋も運営してるんです。
全国展開もされていて、日本で回収した着れる服は各地の古着屋に出品しています。
回収する際はキロいくらで買取りしてるんですが、その中には未開封のブランド物があったりするそうです。

飴屋 お宝ですね!
新井 これが本当のぼろ儲けだって仰っていましたね。
飴屋 是非その記事も読んでみたいですね!ありがとうございました。