
私たちが日々当然に行っているごみの分別だが、実はここまで細かく分別している国は世界的には稀だ。
今回は世界の分別のスタンダードを学ぶとともに、日本の分別文化について解説する。
世界のごみ分別はざっくりやるのが主流
飴屋 日本はごみの分別が特別厳しいって聞いたんですけど、実際どうなんですか?
新井 日本の分別ルールは世界と比較しても突出して細かいですね。
国民性もあるとは思いますが、ここまで色々と分けるルールがある日本は「分別細かい大国」と言っていいと思います。
普通の自治体でもごみの分類方法が4〜5種類くらいはありますし、すごい細かい自治体だとごみを40種類以上に分別してて、廃棄物を一切出さないゼロ・ウェイストを達成してたりします。
飴屋 まさに分別先進国ですね。他の国はどんな感じに分別してるんですか?

新井 日本以外だと大体2種類ぐらいにしか分類されてないですね。
例えば「ドライ/ウェット」って感じで生ごみとそうでないものとか、「可燃ごみ/不燃ごみ」「リサイクルできる/できない」などですね。
飴屋 世界ではざっくりとした分別が主流なんですね。
新井 そうなんです。大雑把に分別されたごみを郊外の大きな敷地に建てた巨大な分別工場みたいなところに運び込んで、コンベアを使って人手や機械でどんどん分けていきますね。
ただこのざっくり集めて後から分ける方法だと、例えばリサイクルできたはずのダンボールに缶やビンから漏れたジュースや油がついてしまったりしていて、リサイクル資源としては価値が非常に低い汚れたダンボールになっていたりします。
飴屋 分別は楽ですがデメリットもあるんですね。
新井 日本みたいに市民が分別の手間を負って細かく分けるパターンと、市民が簡単に分別して運営コストのかかる大規模施設で分別するパターンの二通りがあって、それぞれメリット、デメリットがありますね。
中国:ハイブリッド式ごみ分別の仕組み
新井 ざっくり分別の形を欧米式、細かい分別の形を日本式とすると、中国ではミックスしたやり方を導入しようとしています。

2種類とは言わないまでも4〜5種類ぐらいに分別して、それらをまとめて集めて大規模な選別センターみたいなところでさらに細かく分別する、両方のいいとこ取りをするみたいなやり方をやろうとしてます。
飴屋 いいとこ取りなら中国式はよさそうですね。
新井 日本や欧米は30年以上前からごみ収集の仕組みを作ってきましたが、中国はまさにこれからごみ収集の仕組みを作っていくので、いいとこ取りのハイブリッドで進めてるわけです。
さらにリサイクルは「なぜ分別しないといけないのか」という教育も大事なのですが、中国では2、3年前に北京と上海で分別のルールを導入して罰金をつけて、非常に細かくごみの分別を行いました。
市民としては「なんでそんな面倒くさいことをしなきゃいけないんだ」って反発もありましたが、ごみ捨て場に指導員を置いたりして半ば無理やり導入して、成果を上げてきてますね。
中国式ハイブリッドごみ分別の課題
飴屋 中国式にも課題とかはあるんですか?
新井 課題としては北京や上海などの大都市でしかごみの収集や分別のルールが導入されていないことですね。
田舎になるとまだまだごみ捨て場がなかったり、その辺にごみが山積みになっていたりします。
飴屋 なるほど、まだまだこれからって感じですね。
新井 これは余談ですが、モンゴルやアフリカの多くの地域ではそもそもごみを捨てる仕組み自体がないので、その辺に野積みになっている状態が多いです。
ハイパーハードボイルドグルメリポートという番組があるんですが、その番組ではケニアのごみ山で生活している人の話がわかりやすく見られたりします。
環境と人の記事でもエジプトのカイロのごみを一手に引き受けている街の話とか載ってるのでそのあたりをぜひ見ていただければと思います。

総括:ごみ分別に最も大切なこと

飴屋 今回のまとめをお願いします。
新井 欧米式、日本式それぞれの良さ悪さがあるので、これから導入する地域はハイブリッドな中国式みたいに両方を見ながら導入していくことが大事です。
そして一番大事なのはごみの捨て方に関する教育を進めていくことかなと思います。
飴屋 教育が大事なんですね!ありがとうございました。