

「都市鉱山」「レアメタル」聞き覚えがあるけどよく分からない、金属の世界。
都市からどのくらいレアメタルが回収され、回収を進める上での課題とは何かを解説します。
「都市鉱山」ってどういう意味?
飴屋 東京オリンピックのメダルで「都市鉱山」の話を耳にしたのですが、「都市鉱山」って何ですか?
新井 「都市鉱山」というのは携帯電話・携帯ゲーム機や電子機器、小型家電などに含まれるレアメタル(金・銀・コバルト・ニッケルなど)と呼ばれる希少金属や、電線の中に使われている銅など、使い終わった製品という形で都市あるいは各家庭に埋蔵されている状態を鉱山に例えたものです。
飴屋 なるほど。例えで鉱山と言ってるんですね。

新井 そうです。
東京オリンピックのときは、そういった製品をみんなから集め、使われてる金・銀・銅を抽出してメダルを作ったんですね。
レアメタルのリサイクルは急務?
飴屋 レアメタルとは詳しく言うとどのようなものなんでしょうか?
新井 レアメタルは、機械の基盤の中に少量だけ使われているようなものなんですが、高度なハイテク機器にはどうしても必要な希少金属です。でも、これがかなり偏った地域に埋まってて、輸入に頼っている現状なんです。
そもそもかなり希少な金属なので一度使ったものからしっかり回収して、動脈産業に戻していくことが重要ですね。
飴屋 今はどのくらい回収が進んでますか?
新井 日本だと、まだまだこれからっていう感じですね。
小型家電・電子機器が廃棄されている量は年間で28万トンと言われているんですけど、そのうち10万トンくらいは回収されてる。ただ回収されてないものに関しては、ジャンク品みたいな形で海外に流れていっちゃったりとか、そのまま可燃ゴミとして焼却されて埋め立てられたりしてます。

飴屋 なんでもっと回収しないんですか?
新井 まず一つ、コストの面があります。
例えば、パソコンを100台集めて金が2g取れました、みたいなレベルでしか取れないんです。デバイス一つ一つに入ってる量が少ないうえに、めちゃくちゃ分散しているので、これを集めるコストが非常に重いんですね。
あとはレアメタルを抽出する技術が、まだまだ進化していない点があります。
だからビジネスベースでの回収・リサイクルがなかなか進まないのはそういったコスト面でのハードルがあります。
飴屋 ハードルが高いということですね。
燃やして埋めてる場合じゃない!
新井 ただ、そうも言ってられない事情があります。
やっぱり日本はハイテク産業が結構進んでいて、そこの輸出で稼いでいるところがあります。その基本となるレアメタルは産出国が限られているので、もしその国が売らなくなるなんてことになったら非常にリスクが高いんですね。
飴屋 困りますね。
新井 今後「BRICS(※ブラジル・ロシア・インド・中国・南アフリカの頭文字)」と言われる新興国がどんどん発展して電子機器の使用量が増えていったときに、世界全体の埋蔵量に対して需要の方が高くなってしまい、奪い合いになるリスクも指摘されています。
ですので、本当に燃やして埋めている場合じゃないよって、正直なところ思いますね。

飴屋 コストうんぬんとかよりも、足りなくなることの方が困るのでもっと回収していかなければならないですね。
新井 そうですね。まずはそこの仕組みを知っていただいて、なるべくリサイクルに回せるような形を整えていく必要があります。
飴屋 私たち消費者もしっかり回収できるように意識すべきですね。
新井 その通りです。小型家電は回収できる所に出してほしいですね。
飴屋 ありがとうございました。