日本の古紙回収は世界一って本当ですか?


日本の古紙リサイクルは世界的にも水準が高いがその秘訣はなんだろうか?

古紙のリサイクルを生業とする新井遼一が、わかりやすく古紙回収の仕組みについて解説する!

日本の古紙回収率は世界一?

飴屋 日本の紙のリサイクルは進んでいると聞いたんですが、実際どうなんですか?

新井 はい。日本の古紙回収システムは実際に進んでまして、古紙回収率でいうと8割を越えていて、古紙利用率は6割を越えています。

飴屋 回収されていない残りの2割はどんな紙なんです?

新井 ほぼ汚れた紙や再生できない紙ですね。これ以上の回収はなかなか難しいため頭打ちとも言われてます。

飴屋 世界的に見ても日本の古紙リサイクルは優秀なんでしょうか?

新井 そうですね。世界平均は5~6割くらいですので、突出してると言えますね。

なぜ日本の古紙回収率は高い?

飴屋 なんで日本の古紙回収率は高いんですか?

新井 50年前くらいですが、日本の製紙業界と古紙の回収業界が一体となって、古紙の回収率を上げるために「紙は分別するもんだ」って教育を始めたんです。

小学校とかに業界の人が出張してきて「紙ってこうやって分別してリサイクルするんだよ」
みたいな出前授業を行うと、子供のころから「紙は分別する」っていう意識が芽生えますよね。

飴屋 確かに。私は、授業以外にも土曜日にみんなで古紙回収に行きましょうとかありました!

新井 ありましたね。あとリサイクルの工場に見学行きましょうとか、そういう教育を通して国民に根付いていったと思います。

飴屋 言われてみると、色々なところで紙のリサイクルの話って聞いてきたと思います。

新井 ごみを分別して減らそうみたいな考えは教育現場の学校側としてもいいですし、古紙業界としても国産の古紙が増えるんで万々歳ということで進めていったっていうふうに聞いてます。

飴屋 そうだったんですね。牛乳パックとかを洗って開いて出すのも教育のたまものですか?

新井 はい。牛乳パックって液体を入れるものなので内側にプラスチックのコーティングがされていて、元々は古紙としては使えないものだったんです。

ただ牛乳パックの紙って白くて分厚くて綺麗なので、紙としてはすごく上質のものが使われてるんですよね。

そのまま焼却するのは勿体ないってことで、中小の製紙メーカーと古紙の回収業者が中心になってトイレットペーパーなどにリサイクルできるように地道に進めたんです。

そして今では当たり前のように牛乳パックって回収するようになりましたね。

飴屋 牛乳パックをそのまま捨てることはないですね!

回収された古紙は何になる?

飴屋 古紙ってほとんどトイレットペーパーになるんですか?

新井 いろんな用途がありますが、ダンボールだったらダンボールに、新聞紙は新聞紙にリサイクルされることが多いですね。

白くて上質な牛乳パックや印刷用紙はトイレットペーパーとかティッシュペーパーにリサイクルされることが多いです。

飴屋 会社とか学校でよく出るプリントや裏紙はどうなんです?

新井 トイレットペーパーとかになっていると思います。だからテスト用紙でお尻を拭いたりしているということがあるかもしれないですね。

日本のリサイクル、何がすごい?

飴屋 日本のリサイクルって進んでますよね?

新井 そうですね、特に分別の意識っていうのは突出して高く、世界でも稀だといわれてます。

鹿児島県の大崎町ではごみを40品目ぐらいに分別して一切焼却ごみを出さない自治体もあります。

飴屋 そこまでやってる自治体もあるんですね!

新井 ごみを出さないっていうことは非常にいいことなんですが、逆に言うとガラパゴス化してる部分もあって他の国や地域で同じことができるのかって言うとなかなか簡単ではないのかなとは思っています。

飴屋 それも教育を通して普及させればできるようになりませんか?

新井 なりますね。日本の高いごみの分別意識は教育を通して根付きましたが、世界的にも「リサイクルは教育だ」ってことが認知されだしたので、これからはどんどんリサイクルの教育も進んでいくと思います。

飴屋 教育は大事ですね!ありがとうございました。