

リサイクルにはマテリアル、ケミカル、サーマルの3種類がある。
そして、サーマルリサイクルは日本で広く活用されている。
今回は熱を使った「燃やすリサイクル」サーマルリサイクルを紹介したい。
3種類のリサイクル
飴屋 リサイクルって色々あるんですか?
新井 リサイクルには「マテリアルリサイクル」「ケミカルリサイクル」「サーマルリサイクル」と3種類あります。

マテリアルリサイクルは、例えばですが、ペットボトルをまたペットボトルにして活用するリサイクルです。
ケミカルリサイクルはペットボトルを石油の状態に戻して活用するリサイクルです。
最後にサーマルリサイクルですが、ペットボトルを燃やして、その熱を有効利用するのがサーマルリサイクルですね。
燃やすリサイクルとは?
飴屋 サーマルリサイクルについて伺いたいのですが、そもそも何か燃やすって環境に悪そうな印象があるんですが、どうなんですか?
新井 そういう面もあります。
ただマテリアルリサイクルとかケミカルリサイクルできる廃棄物って、綺麗なごみじゃないとできないんですよね。
例えば、灰皿代わりになったペットボトルとか、腐っていたり、海でいろいろなものが混じったペットボトルは、マテリアルリサイクルやケミカルリサイクルが難しいんですよね。
なのでもう、燃やすしかない。
飴屋たしかに、燃やすしかなさそうですね。
新井 そうです、だからどうせ燃やすしかないのであれば、その熱を上手く使いましょうよっていうのが、サーマルリサイクルの基本的な考え方ですね。

サーマルリサイクルの具体例
飴屋 具体的にサーマルリサイクルってどういうことが行われてるんですか?
新井 発電と燃料利用がほとんどですね。
まず発電ですが、ごみを焼却した際に出てくる熱や蒸気でタービンを回して発電し、エネルギーとして回収するのがごみ発電ですね。
自治体が持っている焼却炉は全国で1400ヶ所ぐらいありますが、そのうちの約300ヶ所ぐらいで導入されていて、今後もどんどん導入が進んでいくだろうと言われています。
2つ目がRPFと呼ばれるものです。
飴屋 RPF?何の略ですか?
新井 長くて覚えにくいのですが「Refuse derived Paper and Plastics densified Fuel」の略で、廃紙や廃プラスチックといった廃棄物由来のものを上手い具合にブレンドしてペレット状の固形燃料にします。

その場で燃やして利用するごみ発電と違って、貯蔵したり、持ち運んだりできるので持ち運んだ先でサーマルリサイクルしたりできるのが特徴ですね。
サーマルはリサイクルじゃない?
飴屋 サーマルリサイクルってすごく良さそうですね!

新井 そうなんですが、サーマルリサイクルは海外、特にEUだと「エネルギーリカバリー」と呼ばれ、リサイクルには含めないとされています。
飴屋 なぜですか?
新井 「結局燃やしてるから良くないよね」ってことですね。
日本はサーマルリサイクルの割合が多いので、欧州基準でいうと全体的なリサイクル率がとても低いと言われています。
飴屋 どうしてそうなるんですか?
新井 ヨーロッパなどは土地が広くて埋め立てる場所が多いので、汚れて再利用できない廃プラスチックなどは埋めるんです。
そして「燃やさずに埋めてしまえばCO2も出ないよね」って話です。
日本みたいな国土の小さい国は埋め立てるだけではどうにもならないので、燃やすしかない。
飴屋 埋めてしまえばCO2はでないけど、燃やすとCO2がでちゃうからリサイクル率が低い?それでいいんですか?
新井 そうですよね、埋めればいいのかって疑問はあります。
ただ、埋められないので燃やすしかない日本ですが、サーマルリサイクルもどんどん進化してRPFなどの活用も広がりました。
日本もこれからはサーマルリサイクルの有用性をしっかり発信していくことが必要だと思っています。
飴屋 日本以外の国にも広まったらいいですね。
新井 その通りで、日本の状況と似たような国はあるはずなので、欧州型のリサイクルがいいのか、日本型のリサイクルがいいのか選択ができるようになれば良いと思いますね。
飴屋 より良いリサイクルが広がるといいですね!ありがとうございました。