

平成になって始まった「3R」とそれに係る法律は、ごみの最終処分場の大幅な延命に成功したと言える。
では、その3R施策はどのように実施され、どういった効果があったのか?
さらには「3Rの限界」について解説する。
10分の1までになった3Rの効果と実績

飴屋 3Rはどのぐらい効果があったのですか?
新井 まず日本のごみの最終処分場の残余年数が8.5年から21.4年まで伸びました。
次に廃棄物全体の最終埋立量が90年ごろの悪いときで年間約1億トン以上ありましたが、現在は2000万トン弱、およそ5分の1まで減っています。
特に企業が出す産業廃棄物は昔は全体のうち10%ぐらいが埋め立てに回ってましたが、今は約1%程度ですね。
飴屋 10分の1とは素晴らしいですね!すごく効果のある政策だったんですね。

産廃と家庭ごみではどちらが効果があったの?
飴屋 産業廃棄物と家庭ごみではどちらが効果があったんですか?
新井 これは産廃の方で、自由競争と市場原理が上手く働いたためと言われています。
それまでは企業は処分費を払って産廃を処分していましたが、リサイクルに出すと処分費ゼロ、あるいは有価で買い取ってもらえるようになりました。
飴屋 コストが安くなったんですね。
新井 はい。さらに、分別してリサイクルに回ったごみは資源として再利用される好循環もできました。
飴屋 上手い循環ができたことで、産廃のほうがより効果があったんですね。

産廃リサイクルの具体例
飴屋 具体的にどういった例がありますか?
新井 例えばですが、オフィスから出る契約書とか伝票みたいな機密書類をトイレットペーパーにリサイクルするとかです。
さらにそのトイレットペーパーを自分のオフィスで使うことで、資源の循環利用ができますよね。
あとは物流の資材にストレッチフィルムという荷物止めで使用するラップのような物があるのですが、それを紙と同じように回収して、ゴミ袋として再生し、その事業所で循環利用していただく、そういった例もありますね。
飴屋 色々とリサイクルされてるんですね!

3Rは良いことしかない?「3Rの限界」について
飴屋 3Rって良いことずくめですね。
新井 ところが、最近はそうとも言い切れず、「3Rの限界」ってのが見えてきました。
そもそも3Rってごみの最終処分量を減らすとか、出ちゃったごみを後始末するための法律なんですが、
例えば、すごく利益が出ている企業の場合は、人手をかけて分別するよりも「まとめてお金を払って捨てた方がいいよね」って考えになってしまったりします。
さらに、今は「そもそもごみを出さない」「いかに資源を使わないようにするか」っていうことが問題になっているので「出ちゃったごみをどうにかする」っていう3Rでは限界があります。
飴屋 減らすだけではなく、そもそもごみを出さないと?
新井 そうなんです。今は分別の手間のかからない製品にしようとか、無駄がでないデザインにしようとか、そういう発想が必要なんです。
これからはそういった仕事が必要ですし、私も「企業に対して、静脈産業側からごみを減らすアドバイスができるリサイクル業者」という新しい分野を切り開いていきたいと考えています。
飴屋 素晴らしいですね!ありがとうございました。