

環境についての話がさまざまなメディアで声高に叫ばれる現代において、しばしば耳にする「3R(スリーアール)」というキーワード。
だが、それが生まれた背景やそれぞれの違い、その効果について熟知している人は思ったよりも少ないという現状がある。
今回は環境を語る上で欠かせない3Rについて、基本の「キ」を改めて整理してみる。
INDEX
そもそも3Rとは何か?
飴屋 基本的なことをお伺いしますが、そもそも3Rとは何かをお伺いできますか?
新井 3Rというのはリデュース・リユース・リサイクルの略です。
1990年代に入り、廃棄物の量が多すぎることや、逆に資源が減っていっていることについて、世界中で議論が巻き起こりました。
その中で、これらの問題を何とかしなければならないという風潮が生まれました。
その流れは日本にも影響を及ぼし、国として法律で定めて改善の方向に進めていこうという方向性が定まりました。
その際に定めたスローガン・標語が3Rです。
飴屋 法で定めながら、更にわかりやすい標語にすることで浸透を図ったわけですね。

飴屋 では早速3Rについて伺いたいのですが、まずリデュースとは何でしょう?
新井 英語でReduce(リデュース)とは「減らす」という意味です。
つまり、そもそも出てしまうゴミの量を減らそうということですね。
例えば、2022年4月からレジ袋の有料化という取り組みが始まりました。
その目的は、使い捨てのプラスチックごみを減らすことであり、まさにリデュースの具体例の1つです。
飴屋 では次に、リユースとは?
新井 リユースは、使ったものをごみにせず何度も使おうという考え方です。
例えば、世にいう「リサイクルショップ」で中古品を販売していたり、メルカリでいらないものを販売していたりしますよね。
飴屋 リサイクルショップと表現されていますが、取り組んでいることはリユースということですね。

飴屋 最後に、聞き馴染みのあるリサイクルについて教えてください。
新井 リサイクルは使い終わったものを原料に戻し、新たな製品にするというやり方です。
身近な紙やプラスチックを例に出すと、回収後に溶かすといった工程を経て原料の形まで戻されます。
その後、それらの原料を新しい製品を作る材料にします。
飴屋 その3つに優先順位はあるのですか?
新井 リデュース・リユース・リサイクルの順で取り組むべきだと思ってください。
まずリサイクルですが、リデュースやリユースと比較すると、回収にお金や人手がかかったり、加工の工程で多くのエネルギーを使ったりします。
つまり、コストが大きいく、それゆえに優先順位は最も低いです。
また、リデュースとリユースについてですが、そもそもごみが減らない限りリユース品が溢れてしまうという意味ではリデュースの方が優先順位が高いと言えるでしょう。

数字でわかる3Rの効果
飴屋 3Rに取り組んだことで日本は改善の方向に進んだのですか?
新井 はい、非常に改善されました。
日本の場合は、そもそも3Rの取り組みを開始した際に既に危機的状況でした。
焼却したごみを埋める「最終処分場」というものがあるのですが、それがあと何年でいっぱいになるかという指標を「残余年数」といいます。
その残余年数が最も短かったのが1995年で、当時は残り8.5年にまで逼迫していました。
飴屋 つまり、8.5年で埋め立てる場所がなくなるという状況ですよね。
新井 おっしゃる通りです。
そこで、状況の改善のために、家電リサイクル法・容器包装リサイクル法・自動車リサイクル法など、3Rを基準としたさまざまな法律を施工していきました。
その結果、昨今では残余年数を21.4年まで伸ばすことができました。
飴屋 では、3Rに取り組んだ効果は絶大だったということですね。
新井 そうですね。
とはいえ、残余年数が伸びたといっても20年前後です。
だから、ごみが出ることを前提にした考え方である3Rから脱却し、今後は、そもそもごみが出ない方法を考える方向にシフトチェンジしていかなければなりませんね。