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太陽光パネルが大量に捨てられる時代がもうすぐ来てしまう

株式会社浜田インタビュー

再生可能エネルギーの代表格、太陽光発電。一般家庭や事業者が再生可能エネルギーで発電した電気を電力会社が固定価格で買い取ることを約束した「固定価格買取制度(FIT制度)」が2012年に制定されたことにより、多くの企業や家庭で導入されています。

ただし、太陽光パネルの寿命は約25〜30年。FIT制度により導入した太陽光パネルが、2040年頃に大量廃棄されるという予測が立っています。私たちはこの問題とどう向き合っていくべきでしょう。廃棄における懸念点とともに、リユース・リサイクルへ向けた取り組みを行う企業に話を伺いました。

 

太陽光パネルが抱える問題

FIT制度によって企業や家庭で大量に導入された太陽光パネル。寿命を迎える2040年頃には、なんと1年につき約78万トンもの量が廃棄される運命にあります。この数は産業廃棄物の最終処分量の約6%。ごみの埋立地である「最終処分場」を、太陽光パネルがひっ迫するのは目に見えています。

 

このような太陽光パネルにおけるさまざまな問題と真摯に向き合い、課題解決に取り組む企業があります。産業廃棄物の分別処理を中心に事業を展開する環境ソリューション企業、株式会社 浜田です。営業・広報担当 堀 智広さんにお話しを伺いました。

 

堀 智広 株式会社浜田 営業部在籍/1991年生まれ、2014年に同社入社。金属スクラップ事業に配属された後、太陽光パネルの処理スキームの開発を担当。同社内の太陽光パネル事業のオペレーションを構築する。現在は社外広報も担当。

 

経済制度だけが成り立ってしまった

 

―改めて、太陽光パネルにおける懸念点を教えていただけますか?

 

太陽光パネルを廃棄すると、最終処分場にいくことになるんですね。というのも太陽光パネルにはガラスと金属が混じっているため、破砕して埋め立てることが多いのです。

太陽光パネルには有害物質の「鉛」が含まれているので、受け入れ可能な特別な処理場に持っていく必要がある。けれど、特別な処理場を持つ会社としては、有害物質の排水が出てしまう可能性のあるものはできれば受け入れたくない、というギャップがあります。

リサイクル方法が確立されなければ、埋め立て処理するしかありません。

今、予測が立っている78万トンという廃棄量は1年間のことなので、2年、3年とこの状況が続くと、最終処分場を圧迫するのは目に見えています。

 

―どうしてこのような事態になってしまったんでしょう。

 

太陽光パネルの処分まで考えが及んでおらず、経済制度だけ成り立ってしまったことだと思います。廃棄やリサイクルのスキームが整っていないまま進んでしまったのは、本当に残念なことです。

 

―何かを開発すると必ず廃棄が出ますが、現在の社会では処理の仕方まで考えられないことが多いのですね。このままいくと、太陽光パネルの不法投棄が蔓延する可能性もありそうです。

 

それはありますね。

太陽光パネルの処分料を支払わずに捨てた場合、その分が利益になってしまいますし、そこから不法投棄が生まれてしまう。大変まずい状況ですが、過去の歴史からしてもそうなる可能性は高いといえます。

 

またFIT制度のタイミングで太陽光パネル設置事業をビジネスチャンスと捉え、あらゆる業者さんが設置事業に乗り出したことも、懸念点としてあります。設置業者に廃棄の問い合わせをしようと思ったら会社自体がなくなってしまっていた、ということもあるでしょうし、「とにかく安く捨てます」と謳っているグレーな業者に依頼されるケースもありそうです。

 

実は太陽光パネルを専門的に扱える会社は全国でもたった20社程度で、一都道府県にひとつもない状況です。2030年頃にはある程度増えているとは思いますが、一定規模の量を扱える企業がないと厳しいと思います。

 

 

独自の処理設備で資源リサイクルを100%実現

 

株式会社 浜田の京都PVリサイクルセンター

―そんな中、貴社では太陽光パネルの処理の問題を早い段階で認識し、新たな処理設備を研究するために合弁会社も立ち上げられました。太陽光パネルの処理において、大切にしているポイントは何でしょうか。

 

まずはリサイクルをしっかりすることです。

リサイクル方法は、太陽光パネルに限らず大きく「サーマルリサイクル」と「マテリアルリサイクル」の2種類に分けられます。

「サーマルリサイクル」とは、ガラスもプラもすべての素材を燃やした際に発生する熱エネルギーを回収利用するリサイクル法ですが、燃やすことでCO2を排出することになります。

一方「マテリアルリサイクル」はガラスならガラス、プラならプラと資源にし、再利用していく方法です。一度に大量の処理ができないため手間はかかりますが、資源に還ればもう一度製造ラインにのせることもできます。

我々の業界はなるべく資源に還すことを目指しているので、太陽光パネルにおいてもマテリアルリサイクルを実現すべく、処理設備を研究してきました。

 

―一般的に、太陽光パネルはマテリアルリサイクルが難しいのですか?

 

太陽光パネルはガラスと発電シートがくっついたものが本体で、処理する際にはガラスと発電シートを分けなければいけません。分ける時、ガラスをバリバリ割ったりするのが普通なのですが、これだと不純物が入ってしまい、ガラスとしての価値が下がってしまいます。

 

今回研究した技術ならガラスを割ることなく発電シートが外せ、板ガラスのまま取り出すことができるのでガラスとしての価値が上がるわけです。

他にも、フレームの部分などは金属スクラップとしてアルミの製品になりますし、接続端子やジャンクションボックスといわれる部分も金属資源としてリサイクルできます。

 

ローラーの上を流れる太陽光パネル。ガラスと発電シートがキレイに分離

―残った発電シートは焼却処理になるのですか?

 

発電シートにはシリコンや銀などが使われています。銀は「レアメタル」として市場価値が高いので、発電シートをより細かく破砕し、純度を上げる技術も開発しました。そうすることで、金属のリサイクルにおいて、より相場に左右されないリサイクルスキームもできました。ここまでしている会社は他になかなかないと思います。

 

―リサイクル率はどの程度でしょうか。

 

我々の技術だと100%です。他社さんだとガラスが残ってしまうなどの問題で、80〜90%ぐらいのリサイクル率だと聞いていますね。中には半分ぐらい焼却しています、という会社さんもあるぐらいです。

 

リユースできるものはきちんと使っていく

 

―リユースに関しても教えてください。

 

現状では、リサイクルよりリユースのご相談が多く、我々もリユースを入り口としてその先にリサイクルがあると考えています。2021年4月に環境省から太陽光パネルリユースのガイドラインが出たのですが、その一部は、我々の実績を参考に作られたものです。現在は国内でまだ使える太陽光パネルを仕入れ、9割ほどを海外に輸出しています。

 

倉庫にて太陽光パネルのリユース品梱包作業を行う

―国内での流通はやはり難しいのでしょうか。

 

太陽光パネルとひと口にいっても、さまざまな型式があったり年代によって違ったりと種類がすごく多いんですね。種類が違うと取り付けができないので、1年前ぐらいはリユースの市場が出来ていくのかが正直はてなでした。

というのも人件費や倉庫の保管費用もかかるので、コスト的にもかなりかさんでしまうからです。加えて日本は“保証”を大事にする国なので、リユース市場がなかなか出来上がっていかない部分もありました。

 

一方で海外に目を向けると、特に中東諸国に顕著なのですが、たとえ外国メーカーであっても“ユーズド ジャパン”がすごく売れるという市場だったんです。日本人はモノを丁寧に扱い、キレイな状態で保管しているという認識がどうやらあるようで。ですので、我々は海外輸出を主に手掛けて採算を取っているという状況です。

ただ、海外輸出が成立しているのはベトナムなど他諸国でFIT制度が始まっているからで、あくまで一時的なもの。国内での価値を見出していくことが課題ですね。

 

―これは堀さんの肌感覚としてお聞きしたいのですが、リユースできる太陽光パネルは全体のうちどの程度ですか?

 

そうですね、半分ぐらいかもしれません。災害などで割れてしまったものはリユースできませんので。

 

リユース可能な太陽光パネル

―最近は水害をはじめ自然災害が格段に増えていますよね。災害によって太陽光パネルがダメになってしまう可能性もありますか?

 

その可能性はかなり大きいです。発電所の方からお話しを聞くこともあるのですが、ここ数年は予想を超えた自然災害が起きているようで、この地域には今まで雨が数ミリしか降ったことがないのに、昨年はその倍近くの雨が降って氾濫するはずのない川が脅威になった!なんてこともよく聞きます。

 

太陽光パネルに関しても、水害によって機能しなくなることはおおいに考えられます。実際、2018年の太陽光パネルの廃棄量は2,200トンぐらいだと予想されていましたが、実績調査ではその倍以上の4,800トンが廃棄されています。これは災害によって意図せず出た廃棄です。

 

―これから太陽光パネルを導入する際にも、自然災害はどの地域でも起こり得ると考えて検討しなければなりませんね。最後に資源リサイクルへの思いについてうかがえますか。

 

我々は全国的な産業廃棄物のプラットフォーム化を目指しています。この業界は老舗企業もたくさんあって、処理のノウハウにおいても優れた企業が多いです。ただ、この業者さんはここが強い、この業者さんはあの分野に特化しているなど、細分化されている部分もありました。

 

ですので、我々としては各社の得意分野を繋ぐハブとなり、廃棄で困っている企業様に最適なソリューションを提供する存在でありたいと考えています。

今後も自動車や自販機など様々な製品の開発が進むなかで、素材が様変わりしていく流れは続くと思います。そうなったときに廃棄や製品ロスをどうするかという問題は必ず出てくる。排出元となる企業のファーストコールカンパニーでありたいと思っております。

 

2021.09.10

取材協力:株式会社浜田

https://www.kkhamada.com/

環境と人 編集部

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