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【動画】雪国新潟で産まれたサーマルリサイクルの果実

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古今東西、燃やせない廃棄物はない

あらゆる廃棄物を処分するための最終手段は焼却です。

1,000度以上となる焼却炉内では、基本的に燃えないものはありません。しかし消えてなくなるわけではなく、その成分のほとんどは「ガス」として空気中に飛散し、残りは「燃え殻」「ばいじん」となって残ります。

「燃え殻」は炉の底に残る燃えかすで、「ばいじん」は煙に含まれる煤などをキャッチして固形化したものです。

燃え殻

ばいじん

これこそが我々の出した廃棄物の末路です。

そしてもちろん、これを欲しがる人は誰もいないため、最終処分場という場所に運ばれ、埋め立てられることになります。最終的には、使いづらい土地だけが残ります。

廃棄物処理を動かす市場原理のメリット、デメリット

しかし、国内で出る産業廃棄物のうち、埋め立てられるのは全体のわずか2%(2019年度)です。

出典:環境省 R1産廃排出・処理状況調査報告書

そこに至るまでの過程で、徹底的に再利用、再資源化がなされ、そのほとんどが脱水・焼却などによる減量化と、有効利用されています。

その背後には、最終処分場に埋め立てるコストが最も高く、採算ラインまで人手をかけてリサイクルすることができるという、市場原理が働いています。

 

逆に言えば、お金さえあれば丸ごと燃やして埋めてしまう方が簡単なのです。

実際、自らのブランド価値を守るため一切のリユース・リサイクルを許さず、そのまま焼却して欲しいという話はいくらでもあります。一般論として、そういう顧客に対して処理側が何か言えるわけはないですし、市場原理の限界がこのあたりに見えてきます。

 

排熱という大いなるムダ

物質的に残るのは「ガス」「燃え殻」「ばいじん」ですが、それよりはるかに重大なのが熱エネルギーのロスです。

焼却炉は基本的に24時間稼働なので、常に廃棄物由来の熱エネルギーが発生しています。しかし多くの焼却炉では、ほとんど有効活用できていません。

熱の活用方法としては、「発電」と「熱供給」があります。

「発電」は、燃焼時の蒸気を用いてタービンを回してエネルギー転換をします。

しかし、全国約1,100ヶ所ある自治体運営の焼却施設のうち、2018年時点で発電を行うごみ焼却施設数は379であり、全体の3分の2は単純焼却に留まっているのが現状です。(産廃発電のデータはないため参考)

なぜなら、発電設備の導入は、焼却炉をもう一基建てられるほどのコストがかかり、小〜中規模の焼却炉ではとても採算が合わないからです。廃棄物という特性上、よく燃えたり燃えにくかったり、出力が安定しないという事情もあります。

熱供給は、高温となった冷却水を使って暖房や温水とすることでガスの代替とすることができます。

ところが、ガス管と同様、温水供給管というインフラが必要なため、日本ではほとんど導入が進んでいません。せいぜい、隣に温水プールを設置するくらいしか方法がないのです。

サーマルリサイクルの事業化

新潟県柏崎市で産業廃棄物の焼却施設を運営するシモダ産業株式会社は、焼却炉の排熱をビニールハウスの温度管理という形で活用し、「シモダファーム」という単体事業としての成立を前提に展開しています。

この「排熱利用(=サーマルリサイクル)の事業化」という点が非常に重要で、自治体も多くの民間焼却施設も、ここが難しいため熱エネルギーが垂れ流しになっている現状があります。

シモダ産業では、「新潟でバナナ」という革新性と「サステナビリティ」という特性をうまく活かし、高付加価値の商品を生産することに成功しています。

このような事業化のセンスが注目され、シモダファームでは続々と視察や見学の申し込みが集まっているそうです。例えばこのノウハウを横展開できれば、停滞する日本の排熱利用にとって良い影響が生まれるのではないでしょうか。

 

シモダファーム(越後バナーナブランドサイト)

シモダ産業株式会社

環境と人 編集部

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