傘のシェアリングサービスで環境保全に貢献

株式会社Nature Innovation Group (代表取締役 丸川照司氏)では日本初の本格的な傘のシェアリングサービス「アイカサ」を展開しています。

2017年は、メルカリやDMM.comが自転車のシェアリングサービス事業に参入した年です。

そのニュースからヒントを得て、2018年より傘のシェアリングサービスを開始しました。

「突然雨が降る度にビニール傘を買い続けた結果、家には何本ものビニール傘が溜まっている」という状況をムダだと思った丸川氏。

そんなライフスタイルを変えていきたいという思いから、アイカサというサービスを立ち上げました。IoTを活用して簡単に傘の貸出し・返却ができるシステムを構築。さらに利用料を安価な値段に設定しました。

傘の材料は布地と傘骨が丈夫で、傘骨1本1本から修理可能なためメンテナンスがしやすく環境にも優しい傘を採用しています。

 

傘の年間消費量は約1億3,000万本 そのうちビニール傘は6,500万本以上

日本洋傘振興協議会によれば、傘の年間消費量は約1億2,000~3,000万本程度と推計されています。そのうちビニール傘は6,500万~8,000万本にのぼるといわれています(産経新聞)。

さらに、調査会社プラネットが男女4,000人を対象に「使うことがある雨具」を調査したところ「ビニール傘」が49.4%の割合を占めました。つまり、2人に1人はビニール傘を持っていることになります。

これはビニール傘が安価であることが原因とされています。外出時に突然の雨が降ったとしても、コンビニに寄ってビニール傘を買えば1,000円支払ってもおつりが返ってきます。

突然の雨が降る度に傘を買い足して、自宅にビニール傘が溜まってしまうケースも見受けられます。安価な値段だからこそ大事に使おうとする意識が低くなり、強風で傘が折れてしまったら、そのまま道端に捨ててしまう人もいます。

 

鉄道会社や警察署から届く忘れ物の傘は年間約30万本

JR東日本によると、傘を含めた全体の忘れ物の件数は年々増加傾向にあるとされています。

特に忘れた傘を取りに来る人は全体の約1割しかおらず、傘の保管量は増えるばかりです。

傘を保管するための保管スペースには限りがあるため、2019年までは傘の保管期間を3ヶ月までとしていましたが、現在は1ヶ月に短縮されています。

2週間以内に持ち主が見つからない場合には、傘のように安価なものは処分ができると遺失物法で取り決めがされています。

ビニール傘に思い入れを持つ人は少ない事から取りに来る人は稀で、さらには持ち主の特定が困難であるため、ほとんどが廃棄されてしまうのが現状です。

 

ビニール傘のリサイクルは難しい

ビニール傘を処分する方法は焼却するか埋め立て処理のいずれかになります。

ビニール傘はプラスチック、ビニール、金属のように複数の素材から構成されています。廃棄されるビニール傘は、機械で細かく粉砕した後に素材ごとに分別するため手間が掛かります。

NHK 未来スイッチ「ビニール傘 使い捨ての現実」より

「処理が大変で、手間もコストもかかって、リサイクルをしてももうかるものではありません。営業がビニール傘の契約を取ってきても、もういらないよ、という品です」(東港金属 福田隆社長)

また、自治体によっては素材ごとに分別しないと傘が捨てられないこともあります。

神奈川県横浜市 傘の廃棄方法より

外せるものは、金属製の骨組と布・ビニール部分とに分けてください。

金属製の骨組は、30㎝以上のものでも「小さな金属類」(「缶・びん・ペットボトル」と同じ曜日)として、袋には入れずに出してください。複数ある場合はたばねて出してください。布・ビニール部分は透明、または半透明の袋に入れて「燃やすごみ」として出してください。外せない場合は、そのまま、「小さな金属類」として出してください。

素材同士を強力な接着剤で接着しているため、素材ごとに分別がし辛く、はさみで切り取るといった方法となります。自治体側で分別して対応するとしても多くのコストと手間を要するのが現状であるため、埋め立てをすることになります。

 

身近な傘のシェアリングでゴミ削減

アイカサが設置した傘のレンタルスポットは駅やショッピングモールに設置されており、スマホさえあれば簡単に傘を借りることができます。

傘立てにはQRコードが印字されており、それをスマホで読み取ることでロックが解除されて傘を借ります。返却時も同様に、QRコードを読み込むことで傘の返却が完了します。

また借りたレンタルスポットに直接返却する必要は無く、違うレンタルスポットで返却が可能です。

傘のシェアリングを上手に活用することで、家から傘を持ち出す煩わしさが無くなるだけでなく、突然の雨に見舞われてしまってもビニール傘を買う必要がありません。

無駄な傘の消費が無くなり、ゴミの削減にも貢献することができます。

 

IoTの活用で返却率は99%

アイカサを利用するためには、事前にアプリ上で決済情報を登録しておく必要があります。

決済方法は下表のとおりです。

傘を借りたままの状態にしておくと、追加の料金が発生してユーザーは意識的に返却するようになります。このアイカサの仕組みとIoTの活用によって返却率99%を達成しています。

 

「使っただけプラン」では1日70円で傘を借りることができて、同月内で上限420円しか料金が掛からないシステムになっています。

「使い放題プラン」では月額280円で傘を2本まで借りることができます。1本は自宅に置きっぱなしにして、もう1本は自分の好きなタイミングでレンタルすることができます。

紛失してしまった場合は、傘の紛失申請をして864円を支払うだけでそれ以上の料金は発生しません。

 

レンタルスポットの増加で広がるサーキュラーな取り組み

サービス開始当初は飲食店を中心にレンタルスポットを設置していましたが、ユーザー数が増えず伸び悩んでいました。

そこで2019年に東日本スタートアップと資本業務提携を結び、JRの駅にレンタルスポットの設置が開始されました。

駅利用者の目を引きやすく、行動の起点となる駅に設置することで、アイカサユーザーは、着実に増加しました。

傘を借りる人が増えれば、結果的に駅に保管された放置傘を減らすことにつながり、JR東日本としても管理コスト削減につながります。

2018年12月からサービスを開始して3年を待たずに公式アプリの登録者が累計20万人にまで到達。サービスを立ち上げた当初は渋谷の街にレンタルスポットが50箇所しか無かったものが、今ではレンタルスポット設置数は900箇所にのぼります (2021年12月15日時点)。

JR東日本のように各鉄道会社と連携した結果、多くの駅にレンタルスポットが設置されて現在では、山手線全駅にレンタルスポットが設置されているほど。

若者に傘のシェアリングサービスに関心を持ってもらうために、駅のみならず大学にレンタルスポットが設置される様になりました。

2021年6月には22歳以下に向けてアイカサの利用料金を無料にするプランを開始され、さらに注目を集めています。

傘のシェアリングサービスの認知度が上がることで「雨が降ったら使い捨てのビニール傘を買えば良い」という概念を変えられるのではないのでしょうか。

 

ビニール傘のサスティナブルな活動は様々な形で行われている

ビニール傘が年間8,000万本破棄されることで、排出される二酸化炭素量は約5万トンです。

これは決して無視できる問題ではなく、複数の企業がビニール傘削減に向けた取り組みや製品販売を展開をしています。

例えばアイカサに傘を提供している株式会社サエラでは、リサイクル可能なオールプラスチックの傘を販売しています。

ファッションブランド「PLASTICITY」ではビニール傘を再利用したファッション小物を販売してます。ビニールの素材を使用しているため防水性と汚れに強い性質を持っていて、機能性に優れています。

今、私たちは家からエコバッグを持ち出してなるべくビニール袋を消費しない様に心がけをしています。しかし、ビニール袋よりもはるかに二酸化炭素を排出するビニール傘には、目を向けられていないのが現状です。

今回ご紹介した傘のシェアリングサービスを利用して、サスティナブルで快適な生活を送ってみませんか?

 

アイカサの登録はこちらから:https://www.i-kasa.com/