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コーヒーとジンの新しい関係

エシカル・スピリッツが仕掛ける循環型の選択肢

オフィスで朝コーヒーを買い、帰りにその出し殻を蒸留したクラフトジンを一杯引っ掛ける。

そんな気の利いたサイクルを可能にするのは、エシカル・スピリッツ株式会社が大手町に1号店をオープンした「The Ethical Spirits & Coffee」です。

一見するとお洒落ないわゆるコーヒースタンドですが、そこで抽出されたコーヒーの出し殻は同社の東京リバーサイド蒸溜所に運ばれ、コーヒーの風味が残るクラフトジンに生まれ変わります。こちらでそのジンも提供されるため、自分が消費したモノが生まれ変わる、地産地消の循環が目に見える形で実感できるわけです。

LIGHT UP COFFEE監修のドリップコーヒー・カフェラテ

ジンの原料となるコーヒー出し殻

こちらはLIGHT UP COFFEEとの共同事業とのことで、同社が厳選して買い付けた、果実味あふれる浅煎り豆から抽出するシングルオリジンコーヒーを提供。

王道で深い味わいがある「TYPE CLASSIC」と、軽快でフルーティーな「TYPE MODERN」の2種類が選べます。

豆の販売も実施しており、ボトルに詰めて持ち帰り、再度そのボトルを持ち込むことで使い捨て容器を排除しています。

また、カップはサトウキビの絞りかすであるバガス製で、蓋部分も同じ素材のプラスチックフリーとなっています。

コーヒーだけで香り付けしたシンプルな蒸留酒

そもそもジンとは、ベースとなるアルコールと香りづけのボタニカル(香草)を蒸留器で気化することでつくられます。ベースのアルコールは風味に影響を与えないため、一般的には穀物類を発酵させたものを使います。ボタニカルは伝統的にジュニパーベリーが使われることが多いですが、クラフトジンではそういった常識に囚われず様々なものが用いられます。

エシカル・スピリッツでは、ベースに廃棄されるはずだったビールや日本酒を使用したり、ボタニカルには間引きされたスダチや廃棄の酒粕を使うなど、原料をアップサイクルすることに特徴があります。

店長の工藤さん

前回のインタビュー記事で紹介したLASTシリーズでは数種類のボタニカルをブレンドし複雑な味わいを醸し出しているのに対し、こちらで提供される『COFFEE ÉTHIQUE』で使用されるのはコーヒーの出し殻のみ。シンプル故に奥深い味わいが楽しめ、仕入れる豆によって風味が変化するため、製造バッヂごとにナンバーが振られています。

参考記事:日本でエシカル消費は広まるか?

エシカルをより自然に感じられる体験を提供

その他、エシカルスイーツとしてコロナ禍で余ってしまったスダチを使用したパウンドケーキや、同様に余ったほうじ茶を使ったクッキーも提供されています。

『COFFEE ÉTHIQUE』も含め、こうした商品やコンセプトはコロナ禍なくして生まれなかったもの。エシカル・スピリッツの活動自体が、時代に適応してダイナミックに変化するベンチャー精神を体現していると言えます。

代表取締役CEO 山本拓也氏は今回の「The Ethical Spirits & Coffee」に関してこうまとめています。

「サステナビリティを難しく考えず、普段の生活の中で気軽に飲んで体験し、循環に参加してもらえればと思っています。」

一方通行に消費されるコーヒーや、何処か遠くから運ばれてきたジンを飲む以外の選択肢があってもいい。エシカル・スピリッツの新たな挑戦に注目です。

 

2022.01.19

取材協力:エシカル・スピリッツ株式会社

  • 新井紙材株式会社
  • メディア事業部
  • 環境と人編集長

新井 遼一

リサイクル業界に入り、日常的に目にする圧倒的な量の廃棄物を目にして、この社会が持続可能ではないことを実感。
表舞台で一人歩きするサステナブルやSDGsなどのワードに対する違和感を解消するため、舞台裏に目を向け、考えてもらうために活動中。

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