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スカイツリー1,000本の資源を循環させる人たち

日本が一年間に出す廃棄物は、約4億2,300万トンに昇ります。

これは、スカイツリーを1万本建てられるほどの重量です。

 

しかしそれとは別に、廃棄物にカウントされないごみがあります。

それが年間約4,000万トン発生する有価物です。

 

技術とともに近代化したくず拾い

有価物とは、主に再生原料として取引される素材で、代表的なものは古紙と鉄スクラップです。

今も多くの国で、これらを拾って生活している人が大勢います。日本でもホームレスの空き缶拾いは目にしたことがあると思いますが、このようなくず拾いを近代化したのが有価物屋で、古紙問屋とか鉄くず問屋とか呼ばれています。

例えばスーパーで出る大量の古段ボールは古紙問屋が買い取っていますし、あなたがお住まいの自治体でも、資源ごみは基本的に地域の問屋に売却しています。

 

石油や穀物と同様に存在するスクラップマーケット

通常、廃棄物は排出する側がお金を払って処理を委託しますが、処理する側がお金を払って買ってくれるのが有価物です。

 

日本では1970〜80年代、お金をもらって山奥に捨てる不法投棄が横行したため、廃棄物処理を法律で厳しく取り締まるようになりました。

その過程で、どこからが廃棄物なのか?という議論がおこり、これはケースバイケースで今でも厳密な定義は難しいとされていますが、ざっくり言うと「有価物は廃棄物ではない」という線引きがあります。

わざわざお金を払って不法投棄する理由はないだろう、というわけです。

実際、古紙や鉄スクラップは流通量が多いため、石油や穀物と同様に商品マーケットが存在し、ほぼ100%が社会に循環しています。

 

毎年、スカイツリー1,000本分の資源を循環させている

有価物屋の仕事は、目利きです。多くのリサイクラー(再生原料を使うメーカー)とつながり、何に価値があるのか把握し、排出側にこう分ければ買い取れますとアドバイスする。または、まとめて引き取って分別し、付加価値をつける。

リサイクラーのことを理解し、必要な原料を集めて適切に供給するのが有価物屋の役割です。

有価物屋がいることで、冒頭で述べた4,000万トン、実にスカイツリー1,000本分の資源循環が成立しています。

集めた資源の使いみちに関する専門知識、逐一変化するリサイクラーの独自情報、それらを入手するネットワークは、希少性のある資産です。それらを駆使し、なるべく多くの資源を適切な人に届けることが生業の、まさに問屋稼業といえます。

戦後、リヤカーひとつで商売を興した起業家がたくさんいました。当社の創業者もその一人です。そして今でも、ごみの山から価値あるものを拾い出すというビジネスモデルは変わりません。有価物屋は本能的にごみを見るといくらになるか考えてしまうし、携帯の写真フォルダはごみの画像でいっぱいなのです。

 

サーキュラーエコノミーの視点から

2020年の日本の家庭・企業からの古紙回収率は84.9%で、紙を製造する際の古紙利用率は67.2%となっており、世界的にも高い水準を誇っています。理由は様々ですが、木材自給率の低さと、分別意識が高く高品質の古紙ができることが大きいと考えられています。

資源を同じ製品の原料として循環させているため、サーキュラーエコノミーが成立しています。さらに、その規模は年間約2億4千万トン(2019年世界の古紙回収量)にも達しています。

しかし、生物資源である木質繊維の循環は4~5回が限度とも言われるため、劣化のしないストック資源を使ったストーンペーパー化学繊維を使った合成紙の方がより望ましいという説もあります。

ただ、稼働している2億トン以上のリサイクルシステムを代替するのは現実的とは言えません。既存のシステムを活かし、更なる紙の有効活用を目指すことがサーキュラーエコノミーの推進につながるのではないでしょうか。

 


【お知らせ】

当社では、サーキュラーエコノミーの構築をサポートしています。
環境への配慮を考えた新たなビジネスモデルの導入から、すぐに始められる取り組みまで、状況に合わせたメニューを用意しています。

具体的には、こんなことがすぐに可能です。

・機密書類を回収し、それを原料としたトイレットペーパーを納品
・廃プラスチックを回収し、それを原料としたごみ袋を納品
・上記のようなリサイクルループを記事や動画として納品

ご興味のある方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

新井紙材株式会社
https://araishizai.com/contact.html

  • 新井紙材株式会社
  • メディア事業部
  • 環境と人編集長

新井 遼一

リサイクル業界に入り、日常的に目にする圧倒的な量の廃棄物を目にして、この社会が持続可能ではないことを実感。
表舞台で一人歩きするサステナブルやSDGsなどのワードに対する違和感を解消するため、舞台裏に目を向け、考えてもらうために活動中。

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