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「BIOLOGIC LOOP」サーキュラーエコノミーを実現するプラットフォームの提案

株式会社BPLab インタビュー

−−「環境の破壊者」ファッション産業はそう呼ばれています(*)−−

一般社団法人サーキュラーエコノミー・ジャパン 代表理事 中石 氏の著書 第5章の冒頭です。国連環境計画によれば、ファッション産業は世界で排出されるCO2の10%を占めるとされています。これは国際線の航空機と海上輸送の船が排出するCO2よりも多いと試算されています。

またTシャツを1枚作るのに使用する水の量は2700リットル(一般的な浴槽で換算すると、約11杯分)となり、水の使用量は石油産業に次いでワースト2位であると世界自然保護基金(WWF)が報告しました。

 

このようなファッション産業が抱える環境問題に対して、株式会社 BPLab(以下、BPLab) は、一般社団法人サーキュラーエコノミー・ジャパンと連携し、天然繊維循環プラットフォーム「BIOLOGIC LOOP」(ビオロジック ループ)を2021年8月、プレスリリースを出しました。

(*引用元:サーキュラー・エコノミー 企業がやるべきSDGs実践の書 中石和良 著)

 

天然繊維循環プラットフォーム「BIOLOGIC LOOP」とは

「BIOLOGIC LOOP」サーキュラーエコノミーの三原則

 

「BIOLOGIC LOOP」とは、サーキュラーエコノミーの三原則に基づいた天然繊維循環プラットフォームです。

サーキュラーエコノミーの三原則とは「廃棄物と汚染を生み出さないデザイン」「製品と原料を使い続ける」「自然システムの再生」です。

 

日本は、いわゆる3R「リサイクル」「リユース」「リデュース」といった環境への取り組みで成果をあげてきました。そのため、「循環型社会を目指す」といわれてもすでに日本ではやり尽くしているのではと考える方もいます。

しかし、サーキュラーエコノミーが目指すところは、日本の3Rの延長線上にはありません。

「サーキュラーエコノミーが3Rと大きく異なるのは、廃棄物を出さないもしくは最小限にするデザインから始め、資源を使い続ける循環プラットフォームを実現することです。ただ繊維業界でそれを実現していくのはなかなか難しいところがあります。」

そう語るのは、株式会社 BPLab 代表取締役 八代 直樹 氏。

八代 直樹 株式会社 BPLab 代表取締役 / ヨーロッパ・アジア圏でブランディングマネジメントに従事。略歴:1989年より㈱ヨウジデザイン研究所 に所属、natinonal standardの取締役に就任する。2006年には株式会社 B・Mac を設立および代表取締役に就任し、2021年より一般社団法人サーキュラーエコノミーと連携した「天然繊維プラットフォーム “BIOLOGIC LOOP”」を提案する株式会社 BPLab を設立。

 

エレン・マッカーサー財団が掲げる「バタフライダイアグラム」では、蝶の羽のような図の中に、「技術的サイクル」と「生物的サイクル」が示されています。

引用元:Circular Economy Hub 「バタフライダイアグラムの解説」

循環型社会を目指すためには、天然繊維と合成繊維を再生して使い続けることが大切です。2つのサイクルの両方で資源を活用していくことが求められています。

「BIOLOGIC LOOPが提案するのは、バタフライダイアグラム左側の生物的サイクルです。消費しても、自然に還すことで再生され、循環させていくサイクルです。

バタフライダイアグラム右側の技術的サイクルにあたる、ポリエステルやナイロンといった石油製品由来の合成繊維は、一度作ってしまうと自然に還すことは困難です。

このサイクルを実現するため、プラットフォームの中にはユーザー、小売業者、アパレルメーカー、運送業者、廃品回収業者、繊維再生業者といったバリューチェーン全体が含まれます」(八代 氏)

 

「BIOLOGIC LOOP」の仕組みと役割

「BIOLOGIC LOOP は、ファッション産業全体のために立ち上げたプラットフォームです」(八代 氏)

BIOLOGIC LOOPのプラットフォームは、プラットフォーム利用契約として廃棄物の回収リサイクル契約、再生繊維を利用するためのBIOLOGIC LOOP 循環契約を結び、回収費用(円/kg)、プラットフォーム利用料、BIOLOGIC LOOP ブランド使用料から運用される仕組みです。

「弊社のプラットフォームでは、ユーザー、糸を作る企業、生地を作る企業、ブランドや商社、運送業などさまざまな企業がどの段階からでも参加することが可能です。今回、提案する「BIOLOGIC LOOP」は既に流通している製品を回収し、合成繊維と天然繊維に分別されます。天然繊維は原材料として再生し、アパレルメーカーが買い取ることができ、再製品化することも可能です」(八代 氏)

ユーザーの不要になった繊維製品は、専用の回収ボックスによって回収されます。回収ボックスはBPLabが制作し、各小売店などに設置されます。衣服の他にカーテンといったインテリア繊維製品やシーツといった寝具などの繊維製品全般が対象です。

「BIOLOGIC LOOPでは、分解した素材を水や化学物質を使わずに天然繊維を原材料として再生します。その後、糸や生地をメーカーや商社に販売します。また買取られなかった再生繊維については、BPLabが活用する予定です」(八代 氏)

BPLabが行う天然繊維循環プラットフォームの再生繊維

「BPLabが衣料回収を行い分別された天然繊維は、衣服としても使用率の高いコットン(綿)や麻、ウール(毛)といった天然繊維です。ただし、再生繊維として原材料に戻した場合、繊維の長さが短く、そのまま糸や生地としては使えません。そのため、再生繊維に新しい原料を追加する必要があります」(八代 氏)

再生原料に新しい原料を追加することによって出来上がった再生繊維は、素材によって異なりますが再生原料の使用率は約10% ~ 約60%となるとのこと。回収・分別の費用が加わるため繊維価格は割高になります

BIOLOGIC LOOPの商品タグ

BIOLOGIC LOOPでは、設計段階から循環を目的とした製品にコットン(緑のタグ)とウール(赤のタグ)の2種類の商品タグが付けられます。ユーザーは、タグを見て再生繊維を使用した製品であることが分かります。またタグ内のQRコードから素材の情報やリサイクル方法の情報が得られます。

「まだBIOLOGIC LOOPをスタートさせて間もないため、出来る限り多くのユーザーや企業の方に知ってもらい、参加いただくことで安定した運用ができればと考えています。」(八代 氏)

 

ブランドに対する消費者マインドの変化

近年では、ブランド戦略の面でも、製品がどこでどのようにして誰が作ったのかを重視するユーザーが増えています。そのため、ブランド側もこういったユーザーの声を無視できなくなっています。

「大学で特別講師を務めた経験から、今の若い世代の環境に対する関心の高さを感じました。

彼ら・彼女らが重視するのは、商品の生産地、生産方法などが環境にどのように影響を与えるかです。そういった消費行動を取る人たちが、世界的にも増えています。

そのため、企業側は環境対策への関心のあるユーザーの声に耳を傾けないと商品が売れなくなるといったことが起きる可能性があります」(八代 氏)

ミレニアルやZ世代と言われる消費者層は、ブランドが社会問題や環境問題にどのように取り組みを行っているかに注目しています。

BIOLOGIC LOOPに企業が参加するメリットの一つは、企業側は循環プラットフォームで再生繊維を使った製品をユーザーに対してアピールできることです。

BPLabは、環境負荷の少ない繊維原料を安定供給し、メーカーにて製品化され、ユーザーが納得して購入し、再び回収されるといった循環プラットフォーム構築を目指しています。

 

今後の課題と展望

BPLabが提案するBIOLOGIC LOOPもまだ完全ではありません。サーキュラーエコノミーの三原則に立ち返ると、デザインから循環させる仕組みづくり、ユーザーが購入した製品がどのように再生されたかを追う仕組みの点では、まだ不完全です。

「サスティナブルといった言葉が有名になりましたが、現状は大量生産と大量消費の延長線上でしかない取り組みがほとんどです。

言葉だけが先行してしまい、本来のあるべきサスティナブル 持続可能な社会の姿がユーザーに伝わっていない状況です。

私たちBPLabができることは、BIOLOGIC LOOPへ参加する企業の方たちへ丁寧な説明を行い、ユーザーの皆様にもプラットフォームの仕組みを理解してもらい、納得して製品を買っていただき、再び回収にご協力いただけるよう伝えていくことです」(八代 氏)

 

BPLabのBIOLOGIC LOOPは、ユーザーと企業、それぞれの点を繋げて線とし、円とする活動はまだ始まったばかりです。

 

2021.10.13

取材協力:株式会社BPLab

https://www.bplab.info/

環境と人 編集部

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