カーボンニュートラルとはそもそも何?意味や問題点も詳しくおさらい

今、あちこちで叫ばれている「カーボンニュートラル」。SDGsをはじめとした環境問題を取り上げる上で欠かせないワードとなっています。しかし言葉だけが先行し、結局のところどうすればいいのかという根本部分が置き去りになっている感も否めません。

「カーボンニュートラルってそもそも何?」「実現は可能なの?」「課題は?」などを探りつつ、今後生きる未来にどのような関わりがあるのかを改めて考えてみたいと思います。

まずはカーボンニュートラルの意味について

 

カーボンニュートラルとは、「温室効果ガスの排出をゼロにする」こと。二酸化炭素をはじめとした温室効果ガスの排出量をなくしていこうとする動きのことです。

とはいえ、酸素を吸って二酸化炭素を出す人間をはじめ、動物が生きていく上で温室効果ガスの排出をゼロにすることは現実的には不可能といえます。そのため、排出する量と吸収・除去する量をプラスマイナスでゼロにする、“結果的に温室効果ガスの排出がゼロになる”、そんな考え方を指します。

温室効果ガスは二酸化炭素を含めて大きく下記の約4種類があります。

・二酸化炭素

・メタン

・一酸化二窒素

・フロンガス等

これらのうち最も大くの割合を占めるのが二酸化炭素。気象庁が発表した2010年の二酸化炭素換算量の数値では、化石燃料由来の二酸化炭素排出量は全体の65.2%、森林減少や土地利用変化などによる二酸化炭素排出量は10.8%となっており、残りの24%がメタン、一酸化二窒素、フロンガス等といった内訳です。

今絶対に取り組まなければならない理由

カーボンニュートラルが、なぜこれほどまでに叫ばれているのか。それは近年どんどん深刻化している地球温暖化の問題が背景にあるからです。

世界の平均気温が1850年頃から2020年現在に至るまで、右肩上がりに上昇を続けていることをご存知でしょうか。

出典:環境庁ホームページ

近年、日本をはじめ各地で大きな災害が起こっています。とくに目に付くのは豪雨被害です。「この地では多くの雨が降らない」といわれてきた土地に大量の雨が降り、被害を受けたというケースが多く見られるようになりました。

一つひとつの気象災害と気候変動問題とを関連付けるのは、今の時点では難しいことです。しかし気温が上がり続けることによって、豪雨をはじめ、猛暑や健康被害、経済活動などへの影響が出るとの指摘が各方面で頻発しています。

気候変動問題はSDGsと切っても切り離せない関係です。SDGsの17の目標のうち直接的にカーボンニュートラルに関わってくるのは「13 気候変動に具体的な対策を」ですが、それ以外にも、人口増加や産業の発展でエネルギー消費が増え地球温暖化に繋がっていることを考えると「7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに」は、カーボンニュートラルなくしては達成できないことでしょう。また「14 海の豊かさを守ろう」「15 陸の豊かさも守ろう」も、地球温暖化によって生態系や生物多様性の状況が変化することと密接にリンクします。

このようにSDGsのすべての目標に、カーボンニュートラルの実現が少しずつ関わっているともいえます。それほど地球温暖化の問題は深刻で、今すぐ一人ひとりが考えなければならない取り組みなのです。

しかし、カーボンニュートラル達成は難しい

今すぐに取り組まなければならない目標ではありますが、一方で「カーボンニュートラル実現はかなり困難だ」との見方もあります。これはどうしてなのでしょうか。下記2つの点から考えていきます。

1.現在の経済活動を維持していくためには電力が欠かせない

生産ラインを維持するためには電力が欠かせません。電力は火力発電所や原子力発電所などの発電所によって作られ、そのうち火力発電所が出す二酸化炭素は、1年間におよそ4億トンもの量です(原子力発電所は二酸化炭素の排出量がほとんどないといわれます)。

また現代の生活では欠かせない物流においても、ガソリンの使用により二酸化炭素が大量に排出されます。

このように、生産や物流で石油をはじめとした化石燃料を使えば、あっという間に二酸化炭素の排出量過多となります。

2.本当に実現できているか検証するのが難しい

先進国が安い人件費を求めて途上国に工場を設けるケースは多々ありますが、その場合の二酸化炭素排出国は生産を委託した先進国ではなく、途上国となります。

そのため、先進国の排出量は減少傾向、途上国は増加傾向になりがちで、先進国では達成されたけれど世界全体で見れば増加、ということにもなりかねません。

二酸化炭素排出については消費行動から数値化することが望まれますが、電力やガソリンなど暮らしと密接に関わる観点からすぐに統計がとれず、現実的ではありません。

カーボン・オフセットという考え方

カーボンニュートラルは目標として続けていかなければなりませんが、とはいえどうしても温室効果ガスは排出されてしまうものです。そこで、排出量に見合った温室効果ガスの削除活動に投資することで埋め合わせる「カーボン・オフセット」という考え方も活発化してきました。

カーボン・オフセットを心がける際、まずは家庭やオフィス、車や飛行機などの移動手段で自分がどのくらい温室効果ガスを排出しているのかを把握し、省エネ活動や環境負荷の少ない交通手段の選択をするなどの削減努力を行います。

その上で削除するのが困難な排出量を把握し、他の場所での排出削減活動を実施。または国内で実施されるプロジェクトによる削減・吸収量をオフセット用のクレジットとして購入することで相殺します。

消費者や企業はクレジット購入によって温室効果ガス排出量低減に貢献でき、また企業のPRにもつながるメリットがあります。一方クレジット売却企業は、クレジットの売却で得た資金を設備投資費用などに使うことができ、両者にとって大きなメリットが得られるといえます。

あらゆる廃棄物をリサイクルにまわそう

温室効果ガスのいちばんの原因となっている二酸化炭素の排出を減らすためには、ゴミの焼却処分についても考えなければなりません。排出された産業廃棄物を単純に焼却や埋め立て処理に回さず、まずはどのようにリサイクルできるかを考えるべきでしょう。

産業廃棄物のみならず、家庭ゴミに関しても出さないことを心がけ、積極的にリサイクルに回していくことが必要です。

こういった徹底リサイクルの考え方は「ゼロエミッション」とも名付けられています。ここには、リサイクルを徹底し、廃棄物を一切出さない社会システムを構築するという目的があります。

また太陽光発電やバイオマス、地熱発電などさまざまな開発が行われている再生可能エネルギーと、二酸化炭素排出量がほとんどない原子力発電とを組み合わせた電源を「ゼロエミッション電源」と呼び、2030年のエネルギーミックスによりゼロエミッション電源比率を44%にすることも目標として掲げられています。

ただし原子力発電にかんしては大きな災害が起こったときなど必ずしも安全であるとは言いがたく、持続可能なエネルギーでないのもまた事実です。そのため、いち早く再生可能エネルギーの効率的な維持が求められています。

二酸化炭素が資源として活用できる!?

カーボンニュートラルを実現するためには二酸化炭素の排出量を抑えなければなりませんが、電力や移動手段など人々の暮らしと直結している部分もあり、なかなか難しいのが現状です。

そこで近年注目を集めているのが、二酸化炭素を資源としてとらえて燃料などに再利用する「カーボンリサイクル」という考え方です。二酸化炭素を資源とし、化学品・燃料・鉱物・その他の4種類に利用すべく開発が進められている段階です。

現在二酸化炭素を資源としたポリカーボネートやコンクリートなどは開発が進められていますが、製造過程で二酸化炭素をたくさん排出していたり資材として扱いづらかったりして、まだまだ改善の余地があるようです。

そのため、カーボンリサイクルの研究開発が効率的に進めるべく、経済産業省が2019年6月に「カーボンリサイクル技術ロードマップ」を公表しました。これによると2030年から2050年頃までに二酸化炭素利用の拡大を狙い、2050年以降では低コスト化へと取り組む未来が描かれています。

今は、未来に向けて着々と準備がなされている段階といえるでしょう。

家庭でできるカーボンニュートラル

現在、国内ではカーボンニュートラル実現に向けてさまざまな取り組みがなされています。例えばスターバックスでは、日本国内の店舗で使用する電力を100%再生可能エネルギーへ切り替える取り組みがスタート。ソフトバンクでも「カーボンニュートラル2030宣言」を掲げ、自社での使用電力を実質再生可能エネルギー100%に切り替えることをはじめとした、さまざまな取り組みを始めています。

このような企業での取り組みと同時に、各家庭でもカーボンニューラルに向けて一つひとつ行動していきたいところです。

再生可能エネルギー電気への切り替え、節電、節水、省エネ家電の導入、徒歩や自転車の活用、食べ残さない、マイボトル・マイストローの利用など、やれることは多岐にわたります。

これからの未来に向けて欠かせないカーボンニュートラル。その実現を一人ひとりがきちんと認識し、小さなことからでも始めていく。そんな意識のスライドが今確実に求められています。